価格形成の仕組み

 
  コール・プット、買う権利・売る権利が取引されるのがオプション取引ですが、その売買されるときの価格はどのようにして決まるのでしょうか。
買い手と売り手があって価格が決まるわけですから、一般の株価と同じように需給と供給の関係もあります。しかし日経オプションは日経平均株価指数からの派生商品で、理論的に価格が形成されているのが株式と大きく違うところです。

 本質価値

オプション価格は、簡単にいうと一定の価値に何がしかの価値が付いて成り立っていると考えてみてください。
一定の価値とは対象商品である日経平均株価と行使価格との差で、本質価値と呼ばれ権利行使をして得られる利益を意味しています。
コールの本質価値は日経平均が行使価格を上回っているとき、そしてプットでは逆に日経平均が行使価格を下回っているときに発生することになります。
行使価格1万7,500円のコールを買ってあれば、日経平均が1万8,000円の時に権利を行使すれば500円を得ることができ、その500円が本質価値なのです。

コールの本質価値

 日経平均−行使価格=本質価値
 18,000円−17,500円=500円

反対にプットでは相場が下落して、日経平均が1万7,000円にならないと500円の本質価値は発生しません。

プットの本質価値

 行使価格−日経平均=本質価値
 17,500円−17,000円=500円

差引きでマイナスまたはゼロになる水準では、本質価値はゼロになります。

呼名
コール
プット
本質価値
インザマネー
日経平均>行使価格
日経平均<行使価格
発生
アットザマネー
日経平均=行使価格
日経平均=行使価格
0
アウトオブザマネー
日経平均<行使価格
日経平均>行使価格
0

コールの本質価値 プットの本質価値

オプションの価格は、本質価値に時間価値が付加されて
 
オプション価格(プレミアム)=本質的価値+時間価値

となりますが、いったい時間価値とはどのようなものなのでしょうか?

時間価値

オプションの価格は10円とか50円、そして500〜1,200円と様々。価格だけを見ている限りその違い、またどうしてその価格になって
いるのか価格形成の仕組みは分かりません。
 

オプションの本質価値が理解できたところで、本質価値からみてみましょう。
例えば、日経平均が17,800円のとき、行使価格17,500円のコールが500円とします。 本質価値は…17,800円−17,500円=300円  
オプション価格の500円から本質価値の300円を差し引くと200円になります。
オプション価格の500円は、本質価値の300円に200円の別の価値が上乗せされていると考えればよいわけです。
オプション価格−本質的価値=別の価値
この本質価値に上乗せされた別の価値が、時間価値と呼ばれているものです。
したがって、本質価値に時間価値が付加されたものがオプション価格ということになります。

 オプション価格=本質的価値+時間価値

日経平均が行使価値よりも低い水準、前の説明ではアウトオブマネーでもオプションは売買されています。アウトでは本質価値はありませんしアットやインの水準のオプション価格から比較して低くはなっていますが、そのオプション価格は時間価値のみになります。

コールの本質価値と時間価値 プットの本質価値と時間価値

時間価値はアットが最大になり、アウトになるにつれて減少していきます。インの場合もインになるにつれオプション価格は高くなりますが、時間価値は減少します。

これまでCBの売買をされてきた方には馴染みのチャートです。理論商品ということからは同じなのが当り前ですが、プットは株価下落で利益が出る方向は全く逆になります。

本質価値は行使価格と日経平均の関係から算出されますが、時間価値は期日までの期間によって違ってきます。期間が長ければそれだけ利益を得るチャンスも多いので価値は高くなり、期間が短くなるにつれ価値は減少し期日になれば消滅してしまいます。行使価格が同じでも、限月によってオプション価格が異なるのはこの時間価値の差があるからです。
またこの時間価値の中には、原資産である日経平均の予測変動率や金利なども含まれています。

オプションの期日が短くにつれてゼロに近づく様子、時間の経過とともにオプションの時間時価の減少を表すと下図のようになります。

期間と時間価値                          
これまでの説明を一口で表現すれば、オプションの価格は本質価値と時間価値から理論的に形成されているということになります。
行使価格18,000円のコールオプションのチャートです。
日経平均の上下によるオプション価格の変化、日数が短くなるにつれ時間価値が減少している様子がはっきりと読み取れることでしょう。
これまでの説明はこのチャートを理解していただくためのものでした。
CBチャートと同じように、このオプションチャートを分析に利用いただきたいと思っています。オプション分析システムを新設しましたのも、オプションはCBの延長線上にあるからです。
 

ブラックショールズの公式

投資家の皆さんはこれまでのオプションの理論をもとに売買をしますが、果して高いのか、それとも安いので買った方が得なのか価格の判断をしなければなりません。
理論商品だけに、理論的なオプションの理論価格が算出できれば割高なのか割安の判断が可能になります。
その理論価格を求めるのには、代表的なものとして ノーベル賞を受賞した有名なブラックショールズのモデルがあります。そのモデルでは、次のような要素を用いてオプションの理論価格を算出しています。

オプションの理論価格 本質価値 対象商品(日経平均株価)
権利行使価格
時間価値 期日までの期間
ボラティリティ(変動率)
短期金利
配当

そして、保有するオプションの将来の利益を現在の価値に換算するための計算、すなわち現在のオプション価格を求める計算式といわれています。
ノーベル賞を受賞する程のものですから我々には簡単に理解できる筈はありませんが、アメリカでは実際の取引で活用され有効なもとして認められてきました。
(当会では、チャート分析・損益シュミレートではブラックショールズのモデルを採用しております)
ボラティリティにつきましては、〔オプション取引の実戦〕に説明してあります。

 オプション取引は難しすぎる?

これまでの説明では、恐らく "オプションはとても難しすぎて自分にはどうも…"
と思われるかもしれません。
実は、まだ金融工学の分野に属する計算式や用語があるのです。その解説が続いては皆さんに嫌われてしまうでしょう。しかし、オプションはそれだけ理論的であるという証しでもあるのです。
かといって、数学に強い人や専門家だけのものでもありません。
理論そのものは複雑でも、基本の知識があれば株式や先物などと同様に売買は容易にできるはずです。
ましてや、CBの経験がある方にとってはいうまでもありません。
  簡単に考えれば
    相場が上昇すると予測する時には
      コールを買うか、プットを売る
    相場が下落と予測する時には
      プットを買うか、コールを売る

そして買いの場合であれば、予測が外れてもリスクは限定されている。
と考えれば、決して難しくはないはずです。
この基本の取引であれば、オプションチャートを見るだけでも株式や先物、またCBなどの売買の実戦家である人なら分かる筈です。
それでもより効率の良い売買、そしてリスクを回避するためにももう少し詳しくオプションの性格をしってくべきでしょう。
         

 

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