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 竹内投資研究会発行のCBメールマガジンです。
  貴方の資産運用に役立てください。

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       転換社債投資入門   2002/10/08   創刊号

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■今週の目次
 1:創刊のごあいさつ
 2:どちらが得?利回り比較
 3:償還日と利回り
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ごあいさつ
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こんど竹内投資研究会から、メルマガを発行することになりました。私.竹内秀夫が、これまで20年以上にわたって研究し蓄積してきた転換社債による投資ノウハウを、できるだけ易しく書いていくつもりです。

ところで、転換社債とはどんなものか。皆さん、ご存知でしょうか。まず、ほとんどの方が、ご存知ないと思います。世の中には、数多く「金融商品」と呼ばれるものがありますが、その中の一つに、これから時間を掛けてお話しする「転換社債」があるのだと、今はお考えになっていてください。先ほども書きましたが、私は、その「転換社債」の理論性に魅せられて、もう20年以上も研究を続けてきました。金融商品で有名なのは、何よりも株式でしょうが、昨今の株式市場の状況を見るにつけ、株で大きな損額を抱えた人が大勢いらっしゃると思います。

私が、メルマガを通じて、広く転換社債の投資ノウハウをお伝えしようと考えたのは、あまりに無防備にハイリスクの塊であるような株式投資を始める方がを断たないという状況に対して私なりにできることがあるのではないかと考えたからです。

すこし、前置きがながくなりましたね。
転換社債投資入門講座を、始めることにしましょう。

先ほど理論性などと難しいことを言ってしまいましたが、転換社債の学習は、決して難しいものではありません。その点は、ご心配なく。銀行預金や郵便貯金を知っているあなたなら、すぐに預貯金よりは、かなり有利だと気づいてもらえると信じています。それに、完全に理解できなくても、外郭が分かるだけでもあなたのお金を殖やす上には、十分に役に立つはずだと思います。

超低金利時代といわれている現在、100万円を銀行に預金して一年後に手にする利息は、たったの600円。ラーメン一杯分にしかなりません。無いよりはまし、貸しロッカーに荷物を預けるのに三日で600円も払うのに、大切な虎の子を一年預かってもらって、逆に600円貰えるのだから…とでも考えないと…・。

しかし、それではお金は殖やすことはできません。さりとて株式投資となればリスクも大きく、そう簡単に参加できるものではありません。株式市場もバブル前の安値水準まで値下がりしてしまい、お気の毒ですが、どれだけ多くの投資家が損をしていることか。

損をしないでお金を殖やすコツ、転換社債ならそれができ、その方法ををこれから皆さんにご紹介するのがメルマガ、転換社債投資入門です。

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2:どちらが得? (利回り比較)
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転換社債って何だろう、と思われる方は多いと思います。転換社債を説明する前に、どうしても欠かせない利回りについて考えてみましょう。

利息の意味は知っていても、銀行預金・債券・投資信託などの利回りとなれば、「ウ…」と詰まってなかなか答えられないようです。

1万円に対して200円の利息・配当が貰えるものと、9,000円で190円の利息が貰えるものとどちらが得?見た目には200円の方が得ですが...。このようなとき、どちらが得か比較するのに使われるモノサシが利回りです。元金に対してもらえる利息や株式の配当などの割合を計算してパーセントで表示するのが利回りと呼ばれるものです。
 先の200円と190円を計算してみましょう。

 元金÷利息の額×100=利回り(%)
 200円÷10,000円×100=2.00%
 190円÷ 9,000円×100=2.11%
 

どうでしょうか、利回りの計算をしてみると190円の方が得ということが分ってきます。このように計算されるのが直接利回りです。

ところで、どの金融商品が有利か、利回りランキングを日経マネーのサイトにありましたので紹介しておきましょう。

   <期間三年の利回りベスト10>  日経マネーのHPより

1. 割引国債{3年) 0.11%
2. 公社債投信 0.07%
3. 大口定期(10年) 0.06%
3. 割引金融債(1年) 0.06%
3. スーパー定期(3年) 0.06%
3. スーパー定期300(3年) 0.06%
3. 大口定期(3年) 0.06%
3. ニュー定期 (3年) 0.06%
3. 定額貯金 0.06%
10. スーパー定期300(10年) 0.05%

 利回りの計算ができてはじめてどちらが得(有利)かが比較できるのですが、割引国債という商品もあるように戻る金額よりも最初に出す元金が少ないものもあります。そこで次に必要になってくるモノサシが、最終利回りです。

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3:満期日があっての最終利回り
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ご承知のように、定期預金には1年とか3年定期といわれるように満期までの期間があります。また、債券は国とか企業の借金ですから、返済の期限があって当然でしょう。その返済を償還、返済日を債券の償還期日と呼び、返済日までの期間が残存期間(年数)という基本は覚えておいてください。

この償還期日(満期)に元金が戻って来る日が約束されていることで、どれだけお金が増えるかという利回りは大きく変わってきます。前の例で、3年後に戻ってくる金額が10,000円の債券を9,000円で買ったものであれば、差額1,000円の利益が得られます。この満期まで待っていれば貰える差額を償還差益といい、差額(償還差益)と利息を合算した利益が元金対して、1年当り何%になるか計算した利回りもあります。それが最終利回りです。

計算してみましょう。

 {(償還差益÷残存年数)+利息}÷元金×100=最終利回り(%)

 {(10,000円−9,000円)÷3年+190円}÷9,000円×100=5.81
 {(10,000円−10,000円)÷3年+200円}÷10,000円×100=2.00

直接利回りと最終利回りでは大きな開きになってしまいます。ただ利息が高いというだけでなく、最初に出す元金と満期(償還期日)に戻ってくる金額との差益を合算し、最終利回りというモノサシでどちらが有利か比較する必要があるわけです。
「2.の利回りランキング」は割引国債と割引金融債も対象になっていますので、最終利回りでの比較ということになります。

 ところで株式投資では、償還の期日という観念は全く無く3年後に幾らという約束もありませんから、配当の収益率は直接利回りの表示になります。配当利回りがどんなに高くても、買値より安く売却した場合には最終利回りの計算ではマイナス(損勘定)になってしまい、同値で売れてこその配当利回りでしょう。株式投資が計算の成り立たない理由です。

転換社債は、国債や地方債、社債などと同じ債券のひとつです。そして、利回りでの比較をしながら、有利性も見ていくことになります。
 上記の利回り比較とは比べもにならないほど有利なものがあります。

  それでは、次回をお楽しみに。         

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    転換社債投資入門    2002/10/15  第

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■今週の目次
1:預けるより、貸せるほうが得
2:転換社債は証券会社に注文
3:値段はどう決まるか
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1: 預けるより、貸せるほうが得
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デパートやスーパーで特別割引セールがありますね。特にそれがブランド品とか、一流品のバーゲンだったりすると、アッと言う間に売り切れの状態になることがあります。
これは、金融商品でも、全く同じです。
先日、東京都が売り出した200億円の『都債』がたった80分で売り切れたそうです。細かい資料が手元にありませんので詳しくは説明できませんが、都債の利回りが定期預金よりも0.012%高いという理由からでした。

※債券では利回りが高いということは、債券の値段が安いことを意味しています※。

利回りが高いから債券の値段も高いと勘違いする人も多いようですが、この点はぜひ覚えておいてください。バッグとかスーツなどの品物と同じように、預貯金や債券、株式、投資信託等も売買するという面から金融商品と呼ばれています。そして少しでも有利な金融商品へと、大きなお金が移動しています。都債があっという間に売りきれたのがその例です。

それと転換社債がどう関係あるのでしょうか?
転換社債も債券です。東京都が都民から借金をするために発行したのが都債で、国が借金をする場合に発行されるのが国債と呼ばれていることはご承知だと思います。転換社債は、企業が資金を集める目的で発行する社債の一種なのです。
なぜ転換社債というか、それは社債に 「株に換えられる」 というおまけが付いているからです。おまけ付き商品の代表だった、グリコのキャラメルを思い出してください。転換社債の魅力あるおまけについては、ゆっくりとお話ししていきます。

ところで、このメルマガの読者の方のなかには、京都にお住まいの方もいられると思います。預金は京都銀行ですか?確か、定期預金の利息は0.1%以下ですね。
その京都銀行も転換社債を発行しているのは、ご存知でしょうか。そして、その利息は、なんと年1.9%。預金を解約して転換社債を買ったほうが余程有利なはずです。

京都銀行の転換社債は、
  1999年9月13日に300億円の転換社債を発行
  満期日(償還期日)  2009年9月30日
  利率は年1.9% で利払いは3月と9月の末日(年2回)
  転換価格は633.0円
というような条件で発行されているのです。簡単にいえば、京都銀行は、一般の方から200億円の借金をして、毎年1.9%の利息を払い、2009年の9月30日が返済の期日ということです。満期返済日まであと7年ありますが、その間の利率は変わりません。
年2回の利払いとは、100万円なら19,000円ずつ2回貰えるのでしょうか?
残念ながら、そうではありません。年19,000円を2回に払うわけですから、1回当りは9,500円となります。

 いかがでしょう。自分のすぐ近くにこれほど有利な商品があるのです。100万円を京都銀行に預けて1,000円貰うよりは、京都銀行にお金を貸して、19,000円を貰う方が得なのはいうまなく、気分もなかなか良いではありませんか。19,000円なら少しは増えた気持ちになれるのではありませんか。
知っているか・知らないかで、お金の価値・時間の価値は、雲泥の差になってしまいます。
 
三重県の三重銀行、大阪の池田銀行も利率の高い転換社債を発行しています。
詳しいことは、証券会社の窓口で、お聞きになってください。それも活きた勉強の一つです。

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2: 転換社債は証券会社に注文
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転換社債を発行しているのは銀行だけではありません。 ソニー、NEC、また昨今、マスコミを賑わした日本ハムや雪印なども発行しています。2002年10月15日現在、450銘柄の転換社債が東京証券取引所に上場されています。
それぞれは、次のように条件(発行条件と呼ばれています)が決められています。

1. 発行日   発行する年月日
2. 償還日   元金が償還(戻ってくる)される年月日
3. 利率     一年間に支払れる利息の率(%)
4. 転換価格  株式に転換する時の一株当りの価格
5. 転換請求期間 株式に転換できる期間

ソニーからは2本、NECからは3本というように複数の転換社債を発行している企業も少なくありません。そして回号がつけられ、例えばソニー3回債、ソニー4回債というように区別されて呼ばれます。
(前例の京都銀行の転換社債は、京都銀行第1回転換社債)
同じ会社の転換社債でも名前が違うように、発行の条件が全く違ってきます。債券として一番重要な条件としての利率は、発行された時の金利の水準によって決められます。金利が高い時期に発行された銘柄の利率は高く、最近のように低い時の銘柄の利率は低くなります。
現在上場されている中で利率の最も高いのは、TOTOから1995年に発行された4回債の2.7%。この利率は金利水準が下がっても変わらず、この転換社債を買った人は今でも2.7%の利息を貰い続けているわけです。

“そんなに有利なら、銀行にある10万円で転換社債を買ってみよう”
残念ですが10万円では買えません。転換社債の一枚当りの社債券面は、100万円単位ですので、最低限100万円は必要になります。余談になりますが、昔は10万円券が普通でした。その後50万円券が発行されるようになリ、バブル期に発行額が増えたことと売買額が大きくなった(皆さんがお金持ちになった)ことから、100万円券が一般的になってしまいました。(今でも50万円券は数銘柄残っています)

わが国にも、日本版401Kが導入され、自分自身で年金の運用をしなくてはならない時代がすぐにも到来します。その時の為にも、今から転換社債を学んでおいてください。
転換社債は理論商品ですと以前申し上げました。「なるほど、そういう仕組みになっているのか」と、きっと思われるはずですし、その時は、転換社債に対して、自分の意見を持てるようになっているはずです。

発行された転換社債は証券取引所に上場され、株式と同じように売買されています。したがいまして、皆さんが転換社債を買うには、証券会社に行かなくてはなりません。
そして証券会社の窓口で、先の例では京都銀行の第1回債を額面で100万円とか200万円というように、買いたい銘柄名と金額を指示します。これなら銀行の窓口とそれほど変わりません。いまでは、インターネットでも注文はできます。

 問題は、どの銘柄がよいか、またその値段を幾らにするかですが、これだけは自分で決めなくてはなりません。   お任せ下さい、その為の転換社債投資入門です。

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3: 値段はどう決まるか
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先の京都銀行第1回債、発行されたときは額面の100万円でしたが、今は104万円〜105万円でないと買えません。「え!それじゃ、満期までもっていれば5万円損することになりませんか…」と、ちょっぴり不満顔が目に浮かんできます。ご説明しましょう。

新聞の値段表を見ると京都銀行の転換社債は、単価が105.0円と表示されています。
これは額面100円当り105円という意味です。実際に100万円の券面を100円に切り売りしているわけではなく、あくまでも価格の表示と考えてください。105円を105%とと見た方が分かりやすいかもしれませんね。私も、その見方をしています。

話を分かりやすくするために、ここからは、表示単位の100円で話しを進めます。
今、京都銀行の転換社債は、何故105円なのでしょうか。満期まで持っていれば5円損をしますが、利息は年1.9円です。利息が周りの商品より高ければ、当然買いたい人が増えて、値段が上がることになります。104〜105円の価格の理由は、前号で説明した利回りの計算をすれば納得していただけると思います。

利率は1.9%、 残存年数は7年でしたね。最終利回りの計算をして見ましょう。
(105円−100円)÷7年=−0.71円 →1年当りの償還差益
{1.9円+(−0.71円)}÷105円×100=1.13% →最終利回り

満期まで持って損する5円は1年当りだと0.71円、そして1年に貰える1.9円の利息を合算した合計は1.19円でやはり預金よりははるかに有利です。最終利回りで表示すると1.13%にもなります。
もし、100円で購入できれば最終利回りは1.9%になり、これは、かなり有利な、とても魅力的な商品となり、買い手が大勢出てきます。逆に持っている人は、そんなに有利なものは売りたくはありませんよね。そこで折り合った値段が104〜105円というわけです。
上場されている転換社債は利回り計算のもとに、他の金融商品と比較されながら売買され値段が形成されているのです。

いかがでしょうか。転換社債って難しいね! とお感じですか?
大丈夫、心配しないで下さい。利回りは計算済みで新聞に表示されています。その比較が自分で出来ればよいわけです。ただ意味がわからないと比較も出来ませんので、基本として最初に説明をいたしました。
利回り計算で価格が形成されるということ…このことは、転換社債が計算の成立つ商品(理論商品)であることの一つの重要な側面を形成しています。このお話は、大変重要ですので、機会を改めて、何度か解説することにしましょう。

もう一例を紹介します。ご婦人なら、たいていの方はパールの指輪やネックレスの一つはお持ちでしょう。その真珠でご存知の田崎真珠も2本の転換社債を発行しています。
その第4回債の利率は1.3%で、値段は93円です。満期までの期間は4年ですかが、京都銀行の例と違って満期まで持っていれば7円の償還差益を得ることになり、当然に最終利回りは高くなります。
計算をしてありますので、数値のみを出しておきますが、 3.25%です。

初めてのあなたも、転換社債の一面は見えてきたのではありませんか。
次回は、少し『魅力のおまけ』 について説明をしましょう。

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   転換社債投資入門    2002/10/22 号 第3号

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■今週の目次
1:転換社債も、株のように値上がりする
2:株価との連動、そして乖離率
3:値段はどう動くのか
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1: 転換社債も、株のように値上がりする
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 前回、ソニーからも2本の転換社債が発行されているとお話ししました。熱心な方は値段をチェックされたのではないでしょうか、10月17日の値段は三回債が197.2円で、4回債は145.2円でした。
同じソニーのものでどうして値段が違うのか、またどうしてそんなに高いのか不思議に感じた方も少なくないのではありませんか?実はこれが、『株式に転換できる』 というおまけが付いているからなのです。

簡単に種あかしをしてみましょう。

ソニー3回債の発行条件は
  償還期日  2003年9月29日 (発行日 1998年4月20日)
  利率     1.4%   (利払い 3、9月末)
  転換価格  2,707.8円

となっていますが、ここで肝心なのが転換価格です。
株に換えるという権利があるわけですから、株式に転換するとしましょう。100万円の転換社債は何株になるでしょうか。株に転換する時の1株当りの単価か転換価格ですから、額面金額を転換価格で割ればよいわけです。

< 額面金額÷転換価格=株に転換してもらえる株数 >
  100万円÷2,707.8円=369株
そしてこの369株を、10月17日の株価の5,370円で売ったとすれば
  369株×5,370=1,981,530円 
にもなってしまいます。これは、額面100万円の計算ですが、単価表示の100円当りにすると、198.1円ということになります。
このように、株に転換でできることから、株に換えてその時の株価で売却したら幾らになるという計算ができます。この計算値を、転換社債の持つ株式の価値と考えてください。

株に換えて売却したらという価値が198.1円ですから、ソニーの3回債が197.2円の値段がついていても当然と、ご理解頂けますね。
この『株式価値』は、一般には『パリティ』とよばれ、次のような計算式で求められます。

< パリティ=株価÷転換価格×100 >

では、ソニー4回債を上の計算式をつかって求めてみましょう。
転換価格は3,995.8円です。

  5,370円÷3,995.8円×100=134.4円

3、4回債ともに金利水準の高い時期に発行されたで、利率は高く1.4%です。
発行時に債券として利息を貰うつもりで買ったソニーの転換社債が、こんなにも値上がりをしているのです。この株のように値上がりするのが、転換社債の 『魅力あるおまけ』の部分なのです。
これでビックリしないで下さい。3回債は、2000年の3月1日には623.1円といった高い値段もあったのです。株価が32,600円と高かったのですから、説明するまでもありませんね。

ソニーの例からも分かるように、株価が値上がりすれば転換社債も大幅に値上がりすることになります。既に償還されてしまいましたが、ソフトバンクの転換社債は100円から2,340円まで値上がりした例もあります。ところが、株式投資をされている方ならご存知のように株価は暴落、当然、転換社債は100円まで値下がりしてしまいました。
ソニー3回債も623円から、現在の197円まで値下がりしたのも株式価値が値下がりのしたまでのことです。

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2: 株価との連動、そして乖離率
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 株価が上下に動くことで、計算される株式価値(パリティ)も変わり、その時々の価値に見合った値段で取引されるわけですから、株が値上がりすれば転換社債も値上がりし、反対に株価が値下がりすれば値下がりもします。
このような転換社債の値動きを、株価に連動するといいます。「株価と連動」と聞いたら、株価と同じように動いているのだと覚えておいてください。

先ほどのソニーの3、4回債で、なぜ4回債のほうだけがパリティより10円も高いのか、不思議に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
4回債の値段は145円と、3回債よりも安かったですね。それだけ100円に近く、値下がりした時の幅が少ない、いいかえればリスクが少ないから価値よりも高く買われているという程度に、今は考えておいてください。
それにしても、高すぎます。我々は絶対に買わない水準です。
(この辺のところは、今はそう簡単に説明しにくい面もありますので、後日あらためて説明させて頂くことにします。)
その4回債も、今年の5月に190円していた時には、殆ど株式価値(パイティ)に近いものでした。
株式価値(パリティ)と転換社債の値段の開きを、パリティとの乖離とよんで、転換社債の値段を測るモノサシの一つとして使われています。

< パリティとの乖離率 >
 (転換社債の値段−パリティ)÷パリティ×100=パリティ乖離率
 {(転換社債の値段÷パリティ)−1}×100=パリティ乖離率
どちらの計算式も同じですので、好きな方を使ってください。

ソニーの4回債で計算してみます。
5月24日  株価:7,450円 転換価格:3,995.8円 転換社債:190.0円
  パリティ=7,450円÷3,995.8円×100=186.4円
  ★パリティ乖離率=(190.0円−186.4円)÷186.4円×100=1.93%
10月17日  株価:5,370円  パリティ:134.4円  転換社債:145.2円
  ★パリティ乖離率=(145.2円−134.4円)÷134.4円×100=8.03%
このように乖離率で比較してみれば、どちらが株式価値(パリティ)に近いかが分かっていただけると思います。

計算ばかりで面倒くさい、転換社債って難しそうで自分にはできるのだろうか。貴方の不安そうな顔が目に浮かんできますが、心配は要りません。
計算式を覚えようとするから難しく感じるのであって、どうしてその計算が必要なのかを覚えておけば良いと思います。意味が理解できていれば、計算は簡単です。
次のように考えてみたら如何ですか。

転換社債は株に転換できる
  転換した株を、その時の株価で売却したら? ⇒パリティ(株式価値)
   (転換して貰える株数に、株価を掛けるだけ)
パリティ(株式価値)と実際の転換社債の値段には開きがある
  パリティと値段の差をパーセントで表す ⇒パリティ乖離率
   (パリティと値段の差をパリティで割り、100を掛ける)

このように考え、“必要な時に必要な計算をする” ということであればそれほど大変なことではないのではありませんか。それに、これまでの計算ができないと、転換社債投資ができないわけではありません。
現に、利回りが高いからとか…、値段が110円以下だから…というだけで銘柄を選んでいる人達もいらっしゃるぐらいです。それでも、利回りが高い・値段が一定以下という点では、それなりのツボをつかんでいます。それに関しましては、先に進んで行くにつれて 「なんだ、そんな簡単なことか」 とご理解頂けるものと思います。

------ ヒント ----------------------------------
パリティが高い時のモノサシは、パリティとその乖離率
パリティが低い時のモノサシは、最終利回り
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3: 値段はどう動くか
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 ノーベル化学賞を受賞された田中耕一さん、その親近感あるキャラクターから今や時の人になっているのはご存知でしょう。田中さんの偉業から、お勤めになっておられる島津製作所が株式市場では人気になり、連日株価は値値上がりし、既に34%も高くなっています。止まるところを知りません、もしかしたら、2倍、3倍になるのかも?

その島津製作所からも転換社債が発行されています。第13回債ですが、株価が34%も高くなったのに転換社債は100円からたったの1.8円しか値上がりしていません。
出来高だけは増えていても値段が高くならないのも、これもまた当たり前の理屈なのですが、これから説明します。

「ソニーの例では、株と連動して値上がりすると言ったではないか!」
はい、でも大きな違いがあるのです。
ではどこが違うのか、まずパリティの計算をしてみましょう。

島津製作所 13回債の発行条件
  償還期日  2005年9月30日
  利率     0.95%
  転換価格  677.0円
そして、10月17日の株価は388円です。
  パリティ=388円÷677.0円×100=57.3円

計算の結果、株式価値がまだ57円までしか上がっていませんから、転換社債の値段も上がらないのです。ここがソニーの例と違うところです。
それじゃ、株式価値(パリティ)の57.3円に近いはずなのに、転換社債の値段はどうして101.8円なの?  鋭い質問ですね。

思い出してください、転換社債はもともと債券でしたね。だとすれば債券としての見方もあるわけです。株式価値の低いとき、島津の13回債のように株価が転換価格を大きく下回っているときには債券とし売買されますので、値段はパリティまでは下がりません。
それでも、101.8円での最終利回りは0.33%とと低く、債券としては高く買われていることを示しています。
(覚えていますか、債券が高いと利回りが低く、債券が安いと利回りが高くなる)
それは人気の真っ只中にあることと、さらに “株価が値上がりすると転換社債も値上がりするだろうという期待”が値段の101.8円に含まれているのだと考えておいてください。

----------これからの値動きは?------------------------------------------------------
さらに株価の上昇が続き、パリティが高くなるにつれて転換社債の値段は少しずつ上がって行きます。そして、パリティが債券価値に近づくと値上がりのスピードが速くなり、パリティ(株式価値)が債券価値を越えるところからは株価と同じような値上がりになります。そうです、株価と連動していくわけです。
株価が値下がりしたら? 債券として利回りで買われますので、私の計算によると、悪くても債券価値の98円前後までしか値下がりしません。
※CBチャートで確認して見ましょう、HPのトップに用意してあります。
  http://www.takeuchi.gr.jp
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債券価値とは初耳だよ! そうでした、まだ説明をしていませんでしたね。転換社債の値動きをお話しする上で、どうしても必要な言葉ですのでつい使ってしまいましたが、次回に詳しく解説しますのでお許し下さい。

さて、島津製作所の株価はどうなるのでしょうか? 株が上がるにしろ下がるにしろ、転換社債の値動きを勉強している皆さんにとっては、またとない教材になると思います。
株価の動きと、転換社債の値動きを追いかけて見ましょう。


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   転換社債投資入門    2002/10/29  第4号

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■今週の目次
1:CBがもつ債券価値
2:CBは二つの価値に見合った値段
3:値動き別に分類
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1: CBがもつ債券価値
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島津製作所の株は乱高下しましたが、転換社債の値動きはわずかでした。しかたがありません、それは株価と連動する水準ではなかったからです。

-----------CBとは ------------------------------------------------------------------

ここからは、゛転換社債を 『CB』 と呼びます。CBとは、英語のConvertible Bondの頭文字を取って呼ばれる転換社債の愛称です。話しの途中で、CBと呼んだり転換社債と呼んだりしますが、どちらを使っても特別に使い分けの意味があるわけではありません。また、回号も2回債なら、#2と略します。
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それでは、島津製作所の株価とCBの値動きを比較しておきましょう。
島津製 #13
10/17 10/21 10/22 10/25
株価 388円 440円 415円 372円
CB 101.8円 103.0円 104.0円 102.5円

 株価の変動に比べ、CBの値動きが少なかったですね。なぜでしょうか?
ここからが、今週の本題です。
先ず、利回りの計算をしてみます。
残存期間:2.93年  利率:0.95%
最終利回り={(100−101.8)÷2.93+0.95}÷101.8×100=0.33%

101.8円での最終利回りは0.33%ですが、もし、他の債券と同じように買うとすれば幾らなら妥当でしょうか。現在、中期債の平均利回りが1.2%ですから、最終利回りを1.2%になる債券の値段を計算で求めれば良いわけです。

<債券の値段の求め方>
(残存年数×利率+100)÷(残存年数×最終利回り+100)×100
(2.93年×0.95%+100)÷(2.93年×1.2%+100)×100=99.28円
計算の結果、99.3円なら最終利回りが他の債券と同じ1.2%になります。

株価がどのような水準にあるかは別にして、CBの値段が99.3円であれば他の債券と同じ、いいかえれば利回りで買える値段といえるわけです。
転換社債の債券として折り合える値段、これが転換社債の持つ 『債券価値』 と考えておいてください。
前号で、株価が大きく値下がりしてもCBは98円前後までしか値下がりしないとの説明を覚えていらっしゃいますか。CBはこのように利回りが計算でき、債券として売買されるので株価がどんなに下がってもこの債券価値よりは値下がりしないわけです。

「本当ですか?株が上がればCBも上がるんだったら、株が下がればCBも値下がりする
じゃないの。そんなうまい話しがあるわけないでしょう?」 とよく質問されます。

論より証拠、サンプルをご覧に入れます。
富士通 #6 パリティ:24.9円  CB:100.9円  債券価値:99.8円
川崎重 #7 パリティ:17.3円  CB: 97.7円  債券価値:96.9円

2銘柄とも、パリティが低いということはそれだけ株価の値下がりが大きかったことはもうお分かりですね。そして株式価値(パリティ)が20円になっていても、CBはちゃんと債券価値に近い値段がついているではありませんか。

債券価値は利回りから算出されます。ということになれば、問題になってくるのが金利の水準です。金利水準が高い時期には債券価値は低くなり、今のように超低金利時代には高くなります。私の記憶では、債券価値が50円と言う時期もありました。
当時、「株がさがればCBも50円近くまで値下がりしますよ」 といっても「100円で戻ってくる債券が、50円になる筈がないのでは?」 と誰も信じてくれませんでした。結果は言うまでもありませんでした。それは予測ではなく、債券としての理論なのですから、当然です。

『債券価値』は、金利の動きにつれて変化します。いいかえれば、金利に連動すると知っておいてください。


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2: 二つ価値に見合った値段
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ここまでの説明で、CBには二つの価値があることを勉強していただきました。その一つは、利回りから計算される債券価値。二つ目は、転換価格と株価から計算できる株式価値(パリティ)です。
そして、《CBはこの二つの価値のどちらか高い方の価値に近い値段がつきます。》

よくCBは難しいといわれますが、その殆どは、値段の仕組みが分からないことにあるようです。

たとえば、CBとは…となれば、必ずパリティの計算と乖離率の説明になります。そして乖離率は低いものほど連動するので有利とか、乖離率が50%もあるCBは値段が上がらないなどの解説になります。そして、利回りの高い銘柄が債券として有利と極端な話しに
なってしまいます。確かに一つ一つをみれば正しいものもありますが、全てをその見方で当てはめようとするところに無理があるのです。
二つの価値というモノサシがあるのに、一つのモノサシだけで測っては見えるものも見えなくなってしまいます。
そうですね、二つの価値があるわけですから、その二つの価値と比較してみてはじめてCBの値段が読めるのです。最初にお話ししました、どちらか高い方の価値に近い値段がつく、これがCBの値段形成の仕組みです。株価上昇で連動の期待から、債券価値にプレミアムが付き価値より少しずつ高くなるのです。

島津製#13をもう一度見てみましょう。
先ほど計算した債券価値は99.3円で、そしてパリティ(株式価値)は57円でしたから、債券価値の方が高いのでCBは99.3円に近いはずです。株価が動き出す前のCBが100円だったのは頷けるのではないでしょうか。そして、株価が値上がりし103円、104円になったのも…。
株価が上昇しパリティが債券価値に近づくにしたがって、CBの値段は少しずつ上がっていきます。そして、債券価値の99円を越す辺から株価と連動していくことになります。反対に株価が下落しても、債券価値の99円が下値支えとなりますので、CBの値下がりが無いといえるのです。これが、前回お話ししましたCBの値動きの裏付けです。

------------【 まとめ 】--------------------------------------
CBには、債券価値と株式価値(パリティ)の二つの価値がある。
どちらか高い方の価値にプレミアムの付いたのがCBの値段。
プレミアムは、二つの価値が同じ所が一番高い。
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注) 一般には、パリティが100円に近いところ、転換価格に株価が近い水準が株に連動するかどうかの分岐点と言われます。島津製?のように、債券価値が100円に近いケースではそれは該当します。しかし、債券価値が80円の銘柄では、パリティが60円からでも連動が始まります。金利水準が高く債券価値が50円の時期なら、株価が転換価
格の半分以下で、パリティが40円からでも連動することになってしまいます。パリティの100円を基準にする常識(?)が、CBを分かり難くしているようです。
やはり、二つの価値が近いところが連動の分岐点と覚えておくべきでしょう。

“説明が長いんじゃないの、それがわかってどうするの?”
そう焦らずにもう少し辛抱して聞いて下さい。投資は遊びではありませんよね、お金は、命の次に大切と言われるではありませんか、そのお金の運用の方法を勉強するのですから、多少時間をかけても宜しいではありませんか。
「転換社債投資入門」講座は、CBで安全に資産を殖やすことが目的です。株式投資のように当った外れたの投資ではなく、理論に沿って確実に運用するためにはどうしてもCBの値動きの説明は欠かせないのです。どうぞ、頑張ってください。

5年、10年の株式投資をしながら、損をしている人が少なくないと聞きます。余計なおせっかいはするなと叱られるかもしれまさんが、勿体ないとは思いませんか。
もし身近に株で損をしている方がおられたら、ぜひCBの話をしてあげてください。
そして、このメルマガをご紹介してください。「CBで損をしない株式投資」といった手法もこれからお話ししていくつもりです。お役に立てると確信しています。

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3: 値動き別に分類
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 現在東京市場に上場されている転換社債は450銘柄ほどあります。この中には、『株予約権付き社債』 という難しい名前の社債も含まれていますが、後から説明する予定です。ただ性格(値動き)は殆ど転換社債と同じですので、いまはCBの兄弟ぐらいに考えておいて結構です。

それぞれに値段が違い、値動きも違う銘柄も、大きくは三つのタイプに分けられます。

≪A: 利回り採算銘柄 ≫
 利回りで買われる水準の銘柄群です。債券価値の説明で参考として取り上げた、富士通#6と川崎重#7などがその例でしょう。パリティが低く、株価が値上がりしてもCBはビクともしません。その代わり、リスクも無いのは当然ですね。
“株が2倍にもなったのに自分買ったCBは値上がりしなかった。CBは儲からない”というもいますが、それは富士通?のようなCBを知らないで買ったまでのことで、CBが悪いわけではありません。

≪B: 連動期待銘柄 ≫
株価の動きがCBに反映される、パリティ(株式価値)が債券価値に近い水準の銘柄群がそうです。(島津製作所の株価がもう少し値上がりしていたら、このタイプの銘柄に変身していた) 
実は、この水準の銘柄の値動きが一番分かりにくいのですが、CBとしてはおもしろい部分でもあるのです。株価が下がってもCBの値下がりが少なく、株価があがればCBも値上がりするといったCBの特徴を活かせられるところです。
CBの代名詞ともなっている、安全・有利といえる水準の銘柄が集まっています。

≪C: 株価連動銘柄 ≫
 株価とCBが全く同率に動く銘柄群で、CBといえども値動きは株式と同じと考えてよいでしょう。これまで参考例として登場したソニー#3、#4はその典型的な銘柄です。株が値上がりするからといって、そのようなCBを買えば大損をすることもあります。株と連動するのですから株価が値下がりすれば当然ですね、注意しなくてはなりません。

それぞれにCBの条件が違い、パリティの水準も異なっていれば値動きは全て変わってくると見なくてはなりません。それを、パリティとその乖離率だけでからの銘柄選びでは的をはずしかねません。先ず債券価値を知り、パリティがどの水準にあるかがわかればCBの値動きは読み取れます。そして自分はどのような銘柄を買いたいのか、目的に合った銘柄をさがせばよいわけです。

-----------【 まとめ 】----------------------------------------------------
<連動期待銘柄>  債券価値とパリティが近い
  値下がりが少なく、株価上昇時には連動高しやすい。
<株価連動銘柄>  パリティが債券価値よりも、かなり高い
  CBの値動きは株と殆ど同じ、値上がりが大きいがリスクも高い。
<利回り採算銘柄>  パリティが債券価値よりも、かなり低い
  利回りが高く(その時々の金利水準に見合った)、株価の動きとは無関係で債券その
   もの。
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CBは儲からない、CBで損をしたという話しも時々聞くことがあります。でも、損をした方の大半は、連動銘柄で高い銘柄を値上がりするだろうという考えで買ったケースです。それでは株式投資と何の変わりもありません。CBなら、損をしたくないのであればそれなりの買い方があるのです。株式投資のハイリターン・ハイリスクに対して、CBはローリスク・ミドルリターンと比較・説明されます。でも、やり方次第では株式投資のようにリスクもあるし、ノーリターンにもなってしまいます。そうですね、儲からないし損をしたという結果になってしまうのです。
賢明な貴方なら、もうお分かりいただけると思います。そうです、ローリスク・ハイリターン、安全・有利という言葉が当てはまるのは『連動期待銘柄』に近いCBだけなのです。

転換社債(CB)の基本的な値動きは、ご理解いただけましたでしょうか?
いよいよ、実践的な銘柄の選択方法に近づいてきました。

また来週お会いしましょう。
竹内秀夫

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----------CBメールマガジン----------------------------------------------------------

   転換社債投資入門   2002/11/05  第5号

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■今週の目次
1::新株予約権付き社債
2:1万円が692万円に?
3:5勝5敗でもプラスとは?
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1: 新株予約権付社債
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 これまでお話ししてきました転換社債、実は14年4月の商法改正で名前が変わっています。正式名は、『新株予約権付社債』です。そして、改正前に発行された従来の転換社債は、『転換社債型新株予約権付社債』呼ばれます。
どこが違うのか?基本的に変わったところはなく、法律面での呼び名が違うだけですので、前号でも転換社債の兄弟と表現したわけです。舌をかんでしまいそうな大変に呼びにくい名前です。
なんと呼びましょうか?

東京証券取引所のHPに、関係する説明がありましたので紹介しておきます。
------<新株予約権付社債>----------------------------------------------------------
 行使期間内であれば、発行会社の株式を一定の価格で取得できる権利の付与された社債をいいます。
新株予約権付社債は、社債の一形態ですから、確定利付き社債としての利息収入を毎年得られるほか、ワラント部分は株価との連動商品という特徴から時価の変動の影響を受けることになります。
新株予約権付社債のうち、新株予約権が行使された場合には、当該行使に係る払込に代えて、当該社債の全額が償還されるもの(平成14年4月の商法改正前の転換社債に相当するもの)は、転換社債型新株予約権付社債と呼ばれています。
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簡単に言えば、権利を行使して株を買い、社債がその購入代金とし使われるものであれば従来と同じで、それを転換社債型新株予約権付社債と呼びますということでしょう。ですから、これまでのように株式に転換ではなく、権利行使で株を買うという表現です。転換価格から行使価格へ、転換から権利行使で株を買うに変わったまでのことです。商法改正後に発行されたものでも、社債をその購入代金に充当できるのであれば転換型ですから、われわれ投資家にとっては、法律的なことは別として社債が株式に変わるという点は同じと考えられるでしょう。

含みのある説明文からすれば、いずれ権利の部分が分離される形態もでてくるでしょうし、払い込みには現金が必要になるかも知れません。そうなるとこれまでのCBとはかなり変わってしまい、以前にありました『新株引受権付社債(ワラント債)』と全く同じ形態になってしまいます。そうなったら、それで対応できるのが理論商品の特徴だと考えておけば良いでしょう。

東証の広報センターに、新株予約権付社債のパンフレットを請求しましたところ、
「殆ど転換社債と変わらないで、特別に用意してありません」との返事でした。
いまはどうか分かりませんが、それほどに同じ扱いだと思ってよいのではないでしょうか。
値動きも同じで、取引所での売買の仕組みも同じであれば、社債が株式に変わる以上は、これまでのように  『CB』 と簡単に呼ぶことにします。

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2: 1万円が692万円に?
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権利行使といえば、他にオプションという金融商品もあります。先週ある週刊誌に、1万円が692万円なった金融商品として、カバードワラントが紹介されていました。低迷している株式市場を尻目に、こんなに儲かる商品があるのか!と狐につままれたような話しでした。しかしその中身はオプションの形態で、権利のみの売買から発生するレバリッジ効果が働き、それだけに倍率も高くなったのです。

では権利のみの売買と、CBとを比較して考えてみましょう。
前にお話ししました債券価値を思い出してください。CBの値段は、債券価値にプレミアムがプラスされたものでしたね。そのプレミアム部分を権利の値段と見たててください。
たとえば、債券価値が100円でCBの値段が105円でしたら、値上がりするという期待感がプレミアムとなって、その値段は5円です。もし、この5円の部分だけの売買ができたらどうでしょうか。株価か値上がりしてパリテイが120円になりCBも120円になれば、5円で買ったものが20円になり4倍になってしまうわけです。仮りにプレミアムが5円でなく1円だったら、20倍にもなってしまいます。
残念ながらCBはプレミアムの部分だけは買えません。債券価値と合わせた105円で買うしかありませんので、4倍ではなく14%の値上がり率にしかなりません。
その代わり、5円だした人は値下がりすると5円は丸々損することになりますが、それ以上の損はありません。信用取引とはそこが違います。

先日、読者の方から 
「CBをもっと勉強してみたいが、資金的に余裕がない。最低でも100万、買っても待つ時間が長いようだと効率が悪い。やはり3〜500万円は必要のようだ。何か良い方法がないものか」 と質問が寄せられました。
そのような方には、カバードワラントなどは魅力があるのではありませんか。
今回簡単に説明しましたのは、CB投資の延長線に“おもしろい親戚”もいることを知っていただくのが目的でした。
特に商法改正後の新株予約権付社債とは、非常に近い部分が多いのです。権利の部分をワラントとも呼びますし、ワラントだけを分離すれば、基本は全く同じになってしまいます。

いずれこのメルマガで詳しい解説をしていくつもりすが、CBの値動きが理解できていれば、それほど難しくはないと思います。

ところで、以前に『新株引受権付社債』と云う商品もあり、ワラント債と呼ばれていました。その寿命は短命で今ではありませんが、これなどは、引受権と予約権の呼名の違いだけです。もう少し細かく説明しますと、ワラントの部分だけ分離して売買できたことです。これなら、分離されたワラントで期間が短いものの値動きは、もはやオプションです。そしてカバードワラントに近づいてしまいます。
ただし絶対に忘れてはならないのは、権利の売買ということです。
それが何を意味するかというと、権利は期間が来ると消滅してしまうということです。

 当時、株価が少し動くだけでもワラントは数倍になると、その投資効率がはやされていた時期もありました。その頃、ある年配のご夫婦が3,000万円のワラントを買ったそうです。老後の大切な資金をさらに殖やそうとしたわけですが、株価が下落したまま期限がきて3,000万円がゼロになってしまたとう話しを聞いたことがあります。権利が消滅することを知らされなかったのか、それとも説明は受けたけれども“何倍にもなる”という面だけに目が向いてしまったのか、どちらか知るよしもありませんが…。
もし、投資金額を一部の300万円に止めておいたのでしたら、300万円がゼロになっても、2,700万円は残っています。
道具がいくらすばらしくても、使い方次第では役に立たないだけでなく大怪我をしてしまいます。

私もその頃、会員さんにはCBの他にワラントも勧めていました。あくまでもCBの延長線の投資方法としてでした。
「100万円で株を買わずに、その資金の10%に当る10万円だけワラント(権利)に投資して、残りの90万円は銀行に預けたつもりで買いましょう」という基本のもとです。株価が半値になっても最大のリスクは10%で済みます。値上がりする時には、株を100万円買ったのと同じだけの利益が出るのです。これが、権利商品の上手な使い方でしょう。倍率の問題ではないのです。
90万円は銀行には入れずに、CBを買ったのは云うまでもありません。


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3: 5勝5敗でも儲けになる?
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 転換社債が、商法改正後に新株予約権付社債に呼名が変わった説明も済みました。そして呼名もCBでいくことにしました。
お話しをCB投資に戻します。前号は値動きの分類から、ローリスク・ハイリターン(安全・有利)のCBは連動期待銘柄にあります、で終わりました。

ではCBが、どれだけリスクが少ないかを検証してみましょう。
皆さんのなかにも、パソコンを買われた方もいらっしゃるかと思いますがが、銘柄は家電量販大手の「コジマ」です。株価が2倍跳ね上がったあと、調整期間も過ぎいよいよ再騰かと期待された時期がありました。が、株とは分からないもので今は半値まで値下がりしています。
その時期に、会員さんの中にはコジマの2回債を買った方もおります。それは、連動期待の好ポジションにあったからです。それでも株価が値下がりするとCBも下がってしまいましたが、どれだけ値下がりしたか、株価と比較してみます。

コジマ #2
09/10 10/24 値下がり率
株価 1,519円 760円 −50.0%
CB 100.2円 97.1円 − 3.1%

如何ですか?株価が半値になっても、CBはたったの3.1%しか値下がりしていないではありませんか。これはマグレでも、特別のケースでもありません。
9月10日の時点で、債券価値の94円から計算して最大のリスクが6%、株価が上昇する時の連動率が約65%の連動期待の水準にあり、リスクが少ないことは予め予測(計算)できていたのです。しかし、残念ながら期待に反して株価は半値まで値下がりしてしまいました。儲けに挑戦してその損が3%であれば、取り戻すのはそれほど難しくはないでしょう。同じに儲けに挑戦して、株を買って資金が半分になってしまった人とは大違いです。それこそ、天国と地獄の差ではありませんか。

“損が少ない、裏返せば安全なものは儲からないのではないの?”
ご心配には及びません。連動期待の水準にものであれば、株価さえ値上がりすればCBも間違いなく値上がりするのです。

時期は同じではありませんが、参考銘柄を紹介しておきます。
USS #1
01/17 08/01 値上がり率
株価(パリティ) 88.3円 114.3円 +29.4%
C B 98.9円 114.5円 +15.8%

 この銘柄もレポートに掲載し、実際に会員さんは買っています。株価が20%値下がりした場合のCBの値下がり率が−5%、株価20%上昇時のCBの値上がりは+14%の連動期待銘柄として推奨しました。結果は連動率が54%ですね。
  (連動率=CBの値上がり率÷株価の値上がり率×100)
このニ銘柄の例のように、株価が値上がりするとCBも値上がりし、株価が値下がりしてもCBの値下がりは少ない特徴を活かせられるところが連動期待の水準です。
安全・有利はCBの代名詞ともなっていますが、そういえる水準、連動期待の銘柄を買ってこその話しです。コジマ#2 と USS#1の値動きがそのよい例であったのはお分かりいただけたでしょうか。

“コジマは外れて損をしたではないか” 確かにそうですね、でも損を少なく押さえていますので、私にとっては失敗ではありません。むしろ自慢したいくらいです。
“ウ…、負け惜しみに聞こえますよ”
まあ、そう云わずにもう少し先にいきましょう。
こんなことを云うと文句を言われるかも知れませんが、株式投資での予測はよく外れますよね。当った外れたの世界ではそれもしかたがないことでしょう。それでもトータルで儲けになるのであれば問題はないのですが、損の幅が大きくては勝率が6〜7割あってもトータルでは儲けにはならない筈です。ましてや勝率が5割ではいうまでもありません。

リスクの少ないCBならどうでしょうか。勝率が5割でもトータルではプラスになる計算です。ですから、最初から当てるつもりはないのです。というよりは、値上がりする銘柄だけ探すなどと難しいことよりも、損を少なくするという投資で一番大切なリスクヘッジを重視するからです。

現に、先の2銘柄を買った人は1勝1敗で勝率は5割ですね。マイナスが3.1%でプラスが15.8%ですから、差し引きで12.7%のプラス勘定になるではありませんか。
株式なら、−50%と+29.4%ですので−20.6%で最終的には儲からないわけです。
これが株式投資とCB投資の差だとお考え下さい。

それは屁理屈だ!そんな計算通りにいくものか!
上がるだろう、いや上がるはずだ、下がるはずだと思惑で投資を続けていく限り儲かる保証はどこにも見当たりません。しかし、理論・計算でプラスになる方法を続ければ必ず正しい答えがでるのではありませんか。
「1万円が692万円」のうらやましいかぎりの話しも、カバードワラントの理論がなせる技でしょう。
CBを含め理論商品と呼ばれるのは計算が成り立つからです。

5勝5敗でもプラスにできる、それがCB投資の基本です。

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----------CBメールマガジン---------------------------------------------------------

   転換社債投資入門    2002/11/12  第6号

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■今週の目次
1:損をして、得を取る裁定取引
2:空売り、株価上昇でもプラス?
3:株価の上下に関係なく、儲かる?
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1: 損して、得を取る裁定取引
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 先週は、CBがいかに安全かコジマの例でお話ししました。そして、失敗しても損が少ないことを自慢とさえ云いきりました。それでも、損は損ですよね。
ところが、そのコジマで見事に利益を出している会員さもいらっしゃいます。
“そんなアホナ、CBが値下がりしているのにどうやって儲かるの?”
確かに値下がりしたCBでは、どうやっても利益は出ません。しかし、皆さんもご存知の株式の信用取引きを利用することによって、話しが変わってきます。

簡単にいえば、CBを買ってその発行会社の株を空売りする。たったそれだけの事ですが、知っているか知らないかでは投資の成果に大きな開きが生じます。
ここでもう一度、コジマのデータを表記しておきます。

07/10 10/24 値下がり率
株価 1,519円 760円 −50.0%
CB 100.2円 97.1円 − 3.1%

7月10日の時点では、株価がどちらに動くかは予測できませんでした。連動期待の水準にあり損がすくないから、上昇に賭けるという考え方です。当然株価下落で、CBが値下がりすることは承知のうえです。ここが株式投資とは違うところですね。
そのわずかな値下がりのリスクさえも、ヘッジする方法もあるのです。

「風が吹けば桶屋が儲かる」の論法で考えてみましょう。
----<考え方>---------------------------------------
株価が下がるから、CBも下がる。
株価が下がって儲かるのは、信用取引きを利用した空売り。
ならば、空売りをしてCBの値下がり分をカバーすればよい。
----------------------------------------------------
この理屈なら、皆さんもご理解いただけますでしょう。
では実際にどうなったかを検証しましょう。
コジマ#2の転換価格は、1,669.0円でしたので、額面の100万円を株式に転換するとすれば、
 100万円÷1,669.0円=599株になります。
CBを100万円買って持っていることは、599株を持っているのと同じと頭に入れておいてください。
CBを100万円買って、200株の空売りをしました。株式投資をしている方なら、現物株を600株買って、200株のツナギ売りをしたと考えてみてもよいでしょう。
株価が半値になって、収益はどうなったのでしょうか?

07/10 10/02 値下がり 損  益
株価 1,519円 → 760円 −759円 +151,800円
CB 100.2円 → 97.1円 −3.1円 − 31,000円
差し引き +120,800円

CBでは3万円の損勘定ですが、空売りした株の方で15万円の儲けになり、差し引きでは12万円の儲けになってしまいました。
CBの値下がりヘッジだけでしたら、100株の売りでもよかったわけです。
如何ですか?チョット頭を使うだけで、損が儲けに変わってしまいます。

“株価が値下がりしたのだから、空売りで儲かって当然だ。反対に、もしコジマの株が値上がりしていたら損をしているではないか、都合のいい例だろう。”
そうですね、これまであまりCBに縁になかった人の常識ならそうかも知れませんが本当は違うんですね。CBを知っている人には、これが常識なのです。

株価が値上がりすれば、CBも値上がりする水準にコジマのCBがいたことを忘れていませんか。

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2: 空売り、株価上昇でもプラス?
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「もし値上がりしていたら」の、ご心配にお答えするこにしましょう。株価は半値になりましたが、約30%高の1,970円までの値上がりを想定し、シュミレートしてみます。もっと高くしてもよいのですが、儲けが大きくなってしまいそうなので控えめにしておきます。
まず、株価が1,970円としてのパリティを計算します。

 1,970円÷1,669.0円×100=118.0円

株価が1,970円まで上がると、株式価値(パリティ)が118円になります。その株価に見合ったCBの値段は118円前後ですね。CBはパリテイに近い値段になることは、皆さんも既に納得されていることと思いますので、119円としましょう。

 そのケースでの損益は?
07/10 ××/×× 値上がり 損  益
株価 1,519円 →1,970円  + 451円 − 90,200円
CB 100.2円  →119.0円 + 18.8円 +188,000円
差し引き + 97,800円

 どうでしょうか、空売り分の損をCBのプラス分で補って、さらにオツリ(儲け)がきます。仮に400株の空売りだったとすれば、株の損とCBの儲けがほとんど一緒になります。ということは、400株以内の空売りだと、どんなに株が値上がりしても損は出ない計算になるわけです。そして株が上がれば上がるほど差し引きの収益はアップしていきます。
もし株価が2倍の3,000円になったとすると、パリティは
 
 3,000円÷1,669.0円×100=179.7円になり、

CBは180円前後にはなるはずです。簡単に収益計算をしておきます。
07/10 ××/×× 値上がり 損  益
株価 1,519円 →3,000円 +1,481円 −296,200円
CB 100.2円 →180.0円 + 79.8円 +798,000円
差し引き +501,800円

この計算が成り立つ限り、CBの値下がりヘッジとして株の空売りするのに何の心配も要らないことが分かっていただけましたでしょうか。
それがわかっていたから、CBを買ったときにリスクをヘッジして値上がりを待つことにしたのです。ただ、結果は株価が値下がりしただけのことで、それでもプラスになったというわけです。
もし、400株売っていたら? 「たら」の話しはよしましょう。

株式投資では両建てという方法がありますが、それだと電車のレールと同じでどんなに動いても開き(サヤ)が出ません。「株とCBの動きの違い」を利用した裁定取引ならでの方法といえるでしょう。

この方法は、既に20年前に紹介しております。そして、私自身が付けた名前ですが、『逆裁定取引』と呼んでいます。勉強家の方なら目にされたことがあるかも知れませんが、7〜8年前に欧米から入ってきたデルタ・アービトラージと同じ手法です。
ただ、日本では最初に私自身が考えて発表をしたのが早かったこともあり、あえて逆裁定と呼ぶことにしています。
ところで、なぜ逆なのか?通常の裁定取引では組んだときにサヤが決まっていますが、この方法は反対なのです。裁定を組んだときにはサヤはゼロで、株価が動くにつれてサヤが広がっていくことで、逆を付けています。株が動くことでサヤが広がるのは、先ほどの例を見てお分かりだと思います。

この逆裁定も、CBなら何でも良いというわけにはいきません。連動期待の水準にあり、株との値動きの違う銘柄に限ります。

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3: 株価の上下に関係なく、儲かる?
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 株価との連動に関しましては、これまで何回となく説明してまいりましたが、裁定取引をご理解頂くには、どうしても知っておいてほしいことがあります。
それは株価が上昇する時の連動率を上方連動率、そして下落時の連動率を下方連動率と区別していることです。

上方連動率⇒株価上昇時の、株価とCBの値上がり比率
下方連動率⇒株価下落時の、株価とCBの値下がり比率

株価に連動すると言っても完全(100%)に連動するものだけでなく、10%、30%、また80%というようにかなり差があるのです。しかも、値上がりする時と値下がりする場合の連動のしかたも違います。
どうしたら、それが分かるの?
今の段階では、ちょっと難しくなりますので、先に詳しく説明します。ここでは「パリティが債券価値にどれだけ近いか」によって違うという程度に覚えておいていただいて下さい。
話しを裁定取引に進めます。

------<基本的な考え方>-----------------------------------------------------------
計算しやすいように、額面100万円のCBを株に転換すると1000株になるとして説明してみます。転換価格が100円と同じ意味ですね。
下方連動率が0.2、上方連動率が0.5。
● 完全連動で乖離ゼロなら、CB100万円と株式の1,000株の金額は同等になり、株が10万円値下がすれば、CBも10万円値下がりする。
● CBの下方連動率が0.2ということは、株が10万円値下がりするとCBはその0.2に当る、2万円値下がりすることになる。
● そのCBの値下がりをヘッジするには、株の空売りで2万円プラスにするだけの株数を売ればよい。10万円のうちの2万円は20%で、1,000株の0.2に当る200株を空売りすることによりCBの値下がりはヘッジできる。
● 株価が値上がりすると2万円マイナスだが、CBの上方連動率0.5からしてプラスは5万円になり、差し引きではプラスになる。
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値段を当てはめて計算しておきましょう。

☆ CB:100円、株価:1,000円で株価が10%値下がりすると、下方連動率が0.2ですからCBの値下がりは2%で、2円になります。
(CBの値段をパーセントにおき換えると分かりやすい、の説明を思いだしましょう)
株式  −100円 (100円×200株)⇒ +20,000円
CB − 2.0円 (100万円×2%)⇒ −20,000円

となり、差し引きはゼロです。これなら、CBの値下がり分を200株の売りでヘッジできることが読み取れますね。

☆ CB:100円、株価:1,000円で株価が10%値上がりすると、上方連動率は0.5ですからCBの値上がりは5%で、5円です。
株式  +100円 (100円×200株)⇒ −20,000円
CB + 5.0円 (100万円×5%)⇒ +50,000円
CBのプラス幅が大きいので、差し引きではプラスになります。

では、上方連動率の0.5に該当する、500株を売ったらどうでしょうか?
株価が値下がりすると
株式  −100円 (100円×500株)⇒ +50,000円
CB − 2.0円 (100万円×2%)⇒ −20,000円
今度はプラス30,000円になってしまいます。

そして、株価が値上がりしたとしても
株式  +100円 (100円×500株)⇒ −50,000円
CB + 5.0円 (100万円×5%)⇒ +50,000円
差し引きでは、+−ゼロです。したがって、上方連動率の範囲ないの株の売りであれば、株価がどんなに値上がりしても損にならないということになります。

今週は少し難しかったかも知れませんが、ご理解いただけたでしょうか。
CBの理論性と、その素晴らしさを早くお知らせしようとの気持ちから、つい駆け足になってしまいました。お許しください。
今日のところは、株式の信用取引きを利用することによって、さらにCBが安全になることと、空売りの株数を変えることにより株価の上下に関係なくプラスにできる逆裁定取引という方法もあるということをだけでも分かってもらえれば結構です。

“CBは難しいから、もう勘弁してよ”
大切な資産運用にかかわる勉強です。いずれ、皆さんから納得できたとう言葉がいただけるように私も頑張りますので、もう少し辛抱してください。

--------【今週のまとめ】--------------------------------------------------------------
信用取引きを利用すれば、CBのリスクをゼロにもできる。
空売りの株数を工夫することにより、株価が上下どちらに動いてもサヤを取れる。
下方連動率に近い売り比率は、CBの値下がりヘッジ。
上昇連動率に近い売り比率は、株価値上がり時の空売りのヘッジ。
下方・上方の中間だと、株価がどちらでも動けばプラスになる。
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皆さんがCBの勉強を長く続けられる為にも、納得できない点、分からない点、もっ
と詳しくお知りになりたいことなどがございましたらご質問ください。
ご要望でも結構です。お待ちしております。

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----------CBメールマガジン---------------------------------------------------------

   転換社債投資入門    2002/11/19  第7号

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■今週の目次
1:債券として、利回りで買えるCB
2:連動期待銘柄も、割安・割高の判断が必要
3:株価連動でも、リスクが大きい
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1: 債券として、利回りで買えるCB
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 早いもので、このメルマガ(転換社債投資入門)も7回を迎えました。これまでの説明でCB投資の輪郭は、オボロゲならもご理解されたでしょうか。
債券として利息を得る(インカムゲイン)、株との連動で値上がりを狙う(キャピタルゲイン)、CBの安全性を確保しながら同時に値上がりも期待する(ローリスク・ミドルリターン)・・など投資家自身の目的によってCBの銘柄選択が変えられます。それができるのもCBの特徴といえるのではありませんか。

あなたは、CBに何を求めすか?
「何でもいいから、儲かる銘柄が分かればよい」 などと云わないで下さい。最終目的は利益を上げることにあっても、儲かる銘柄だけ見分けられることなどはまず不可能と悟るべきでしょう。これまでの経験から、十分にご承知でしょうが…。

いったい他の人は、どういうCBを買っているのでしょうか。一つの見方として、今回は出来高の多い銘柄から探って見ましょう。

<11月15日の出来高上位5銘柄>
CB値 パリティ 債券価値 最終利回り
丸紅 #8 92.0円 18.7円 98円 3.50%
スズキ #3 105.5円 64.9円 86円 − 0.70%
ヤマダ #2 96.5円 75.7円 88円 0.52%
ソニー #4 140.6円 128.8円 100円 −11.18%
住金 #3 98.7円 5.2円 100円 2.54%

出来高トップの丸紅#8の最終利回りは3.5%もあります。パリテイの18.7円からしても利回り採算の銘柄であることお分かりですね。債券価値は98円ですが、その価値よりもさらに低く、利回りが高い点に注目されて買われているわけです。債券価値の98円まで、いいかえれば現在の利回り水準まで買われるとすれば、あと6円の値上がりがありえるのです。しかし、それ以上の値上がりは望めません。
住金#3も全く同じです。パリティはたったの5.2円、それでも丸紅よりも値段が高いのは表面利率が1.6%もあり、債券価値が100円と高いからです。

債券価値が妥当なCBの値段で、それよりも安いので割安とみてよいでしょう。株価との連動高は無いが、割安で高利回り、これが商いの多い理由です。

住金も発行された頃のパリティは、少なくても95円前後はしていた筈です。それが今は5円ですから、株価も1/20になってしまったわけです。それでもCBは98円です。しかもこれまで毎年1.6%の利息をもらっていたのです。
何を言いたいかもうお分かりですね。そうです、株を買っていたら100万円が5万円になっているときに、CBを100万円買った人は損をしていないのです。いかに安全かという事実です。

ではこの2銘柄は買えるのか?答えは、「人によって違う」です。
堅い考えの方で、今時利回りが2%以上になれば良いというのであれば、格好な買い銘柄になるでしょう。
CBで儲けようとの目的では対象外です。株価が5倍になっても、CBは連動しての値上がりはありません。せいぜい債券価値を少し上回る程度です。

“出来高が多いから人気があるのだろう、しかも利回りが高く安全だといわれて買ったのに、株価が2倍になっても全然値上がりしなかった。”
そんな不満を言う人が意外と多いのですが、それはCBの性格を知らないままにこのタイプの銘柄を買ってしまっただけのことです。CBが悪いのではありません。

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2: 連動期待銘柄も、割安・割高の判断が必要
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 スズキ#3とヤマダ電#2は、パリティが債券価値に近いですね。これは、連動期待銘柄に属していますのはもうご存知だと思います。
では、両方とも買えるのか?
スズキ#3は、パリティと債券価値の関係からして妥当値は96円前後がいいところです。にもかかわらず何故こんなに高いのか、私にも理解できません。出来高に関しては、これまでの出来高からして、当日は玉の移動のためのクロスでしょう。
いずれにしても、割高で買えない銘柄でしょう。

反して、ヤマダ電#2は妥当値よりも安く、割安な水準ですので売買が多いのは納得出来ます。株価が値下がりして、売り物が出てきている事もあって売買が膨らんだのでしょう。この水準であれば、売り物があれば買い手があっても当然です。
株価の動きは別にして、この水準のCBは絶好な買いポジションです。

“スズキが割高で、ヤマダ電が割安などとどうして云えるのですか?スズキの方が安いからですか”と不思議に思う方が多いのではないでしょうか。

まず簡単に比較してみましょう。
パリティ、債券価値ともにスズキの方が安いですね、それでもヤマダ電の96.5に対してスズキは9円も高い105.5円です。これだけ見てもスズキは高いといわざるを得ません。
“丸紅と住金は債券価値よりも安いのに、どうしてスズキとヤマダ電は高いのか。
先ほどの債券価値の説明からすれば割高ではないか、それなのにヤマダ電は割安とはおかしいではないか?”

お答えします。
二つの価値が同じで、CBの値段も価値通りであれば、株があがれば連動高しますが株が値下がりしてもCBは値下がりしません。債券価値とパリティが等しい(同値)水準が、CBにとっての好条件なのです。ですから、その条件が良いところでは、価値よりも少し高い値段が付きます。CBの値段は価値にプレミアムがついたものということは、既に説明しましたが、このことです。

駅前の一等地の地価が高く、駅から離れるにつれ地価が低くなっていくのを想像てみましょう。それは家賃でも同じですが、駅前は便利が良いからですね。
二つの価値が同じところは、値下がりがなく値上がりは株と同等(ノーリスク・ハイリターン)という点では、駅前と同じ考え方ができプレミアムが一番高くんなるのです。
そして、株価が値下がりしパリティが安くなるにつれ、プレミアムは減少していきCBは債券価値と同じ値段になってしまいます。
株が値上がりしてパリティが高くなるとどうなるでしょうか。CBの値段は上がりますが、値上がりにつれて値下がりリスクが増えますので、パリティ(株式価値)に近づいていきます。そうです、乖離率が低くなるのです。

この理論から、私はCBの妥当値を計算しています。発行条件が異なり、株価もCBの値段も違うそれぞれの銘柄を分析するには、債券価値と株式価値(パリティ)の二つのモノサシで測る以外ありません。そして、二つのモノサシで測った結果を指数化し、座標に記入してCBチャートを作成し分析しています。

参考までに、HPにCBチャートを用意しておきます。

スズキ#3のCBチャートは、ヤマダ#2のチャートをクリックすると表示されます。
チャート内では緑の線がCBの軌跡で、白い点線が妥当値を結んだ、妥当値ラインです。比較して、割安・割高の説明を理解してください。

いかがですか。ヤマダ#2は好ポジションにあります。でも株価が値下がりしそうだというのであれば、前回に解説しました逆裁定も可能なポジションですね。
しかし、スズキ#3はある程度の連動はあっても、値下がり時のリスクが大きいだけでなく、裁定によるリスクヘッジもできません。結論としては、ヤマダ電は買えても、スズキは買えないという結論になります。
スズキの株が値上がりするかも知れないだろう?そう見たとしても、やはりリスクを承知したうえでの投資になります。でも、リスクとリターンの比率からすれば、私なら他の銘柄を選びます。それでも、株よりもリスクが少ないことは確かですが。

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3: 株価連動でも、リスクが大きい
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 ソニー#4はこれまでに、何回か登場しました。人気株だけにCBの商いはいつも多いようです。それにしてもパリティが128.8円に対して、どうして140.6円の値段が付くのでしょうか。乖離率は9%もあり、株式価値よりも9%高く買われています。
株価が戻り歩調というのでしょうか、連動してCBも値上がりするのであれば10%以内の乖離であれば高くないなどといわれますが、いくら人気銘柄でも割高で買うのはリスクが大き過ぎます。

乖離率だけでは理解し難い面もありますので、ちょっと別の見方をしてみます。
CBの値段を株価に換算しますと、5617円になります。実際の株価が5150円の時CBを140.6円で買うということは、5617円の株を買うのと同じわけです。467円も高い株を買う理由がどこにあるといえますか。それならCBでなく、株を買った方がとほど得ではありませんか。

“どうして140.6円のCBが、株価にすると5617円になるの?”
パリティの計算を思い出してください。その計算式を使って、パリティにCBの値段を挿入して株価を求めれば良いわけです。

パリティ=株価÷転換価格×100 ⇒ 株価=パリティ×転換価格÷100

転換価格は3995.5円、CBは140.6円です
株価=140.6円×3995.5円÷100=5617円

前例のヤマダ電#2のように、値下がりのリスクが少ない水準ならパリティとの乖離もあって当然ですが、ソニーは下値支えの働く水準ではありません。株価が値下がりすればCBも下がるし、それに割高分の値下がりの可能性もあります。株価の値上がりを期待して買うのなら敢えて467円も高いCBを買う必要はありませんね。
それでもCBは安全と思い込んでいる人も少なくはありません。ソニーは決して安全などとは云える水準でないことは分かっていただけましたでしょうか。

ソニーのCBを買いたいと聞かれたら、間違い無く私は反対します。もしかして、株が値上がりしてCBも値上がりするかも知れません。しかし、当って儲かれば良いのですが、値下がりした時に損を出してしまっては、CBを薦める意味がなくなってしまいます。
投資の世界では、「結果良ければ全て良し」とはいえません。なぜなら、何時もよい結果が出るとは限らないからです。

今回は出来高の多い銘柄を参考に、CBを分析してみました。
それは、まず始めに投資家さんの投資に対する個々の考え方があって、その目的に合ったCBを選ぶことこそ基本だと思うからです。

さて、出来高上位のなかで、皆さんはどの銘柄を選びますか?
利回りの高い丸紅、住金を選らんだとしても、利回りを重視する方であれば正解です。ただし、株価との連動高という魅力はありませんね。
ソニーですか?それならまだ株を買った方が良いのではありませんか。CBとしては反対です。次回には同じ連動でも、リスクの少ない銘柄を紹介しましょう。
ポジションからしてコジマ電がいいが、株価はまだ値下がりしそうだ。他にないか?
実は、よりリスクの少ないものへ、より連動の高いものへと比較検討しながら自分にあった銘柄をさがしていくことが、上手な銘柄選びなのです。

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----------CBメールマガジン---------------------------------------------------------

   転換社債投資入門    2002/11/26  第8号

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■今週の目次
1:乖離率は、下値によって違う
2:二つの価値が近い、ベストポジションが有利
3:銘柄選びのコツは?
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1: 乖離率は、下値によって違う
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 前回は、ソニーの乖離率がいかにも高過ぎると断言しました。それでも、CBの解説で最初に出て来るのがパリティと乖離率です。転換価格があって、株価がその転換価格にどれほど近いかを見るのがパリティ、そしてそのパリティに近いほど株価と連動する。これが一般的なCBの説明です。
間違いではありませんが、それが全てでもないことは皆さんもうお分かりですね。では、パリティとの乖離はどうして発生するのでしょうか。

CBが債券であって、債券価値があるのが主たる理由です。
株価が値下がりしてパリティが低くなるにつれ、CBも同じように値下がりしていれば、そうですね連動している限り乖離はありません。でも、CBには債券価値があります。値下がりして債券価値に近くなるとCBの値下がりは少なくなり、そこにパリティとの乖離がでてくるのです。

乖離の広がる様子を実例から探ってみましょう。
<富士レビオ#2に見る乖離の変化>

A(6/10) B(7/11) C(7/25) D(9/11) E(11/21)
パリティ 124.2円 113.0円 103.0円 93.3円 69.2円
126.0円 114.8円 108.4円 104.0円 100.0円
乖離率 .4% .6% .2% 11.4% 44.5%
下値乖離 39.0% 19.0% 26.0%. 11.0% 8.0%.
参考図→

 (A)〜(B)への値下がり過程では乖離率に変化がありませんでした。CBは連動して値下がりしたのです。ところが(B)〜(C)ではパリティの値下がりが同じでも、CBの下げが少なくなっていることに気づきませんか?そうなんです、(B)からがCBの値下がりが少なくなり、その結果乖離が広がっているのです。そして、(D)→(E)へとパリティが下がってもCBの下げ率は少なくなり、乖離はさらに広がっていくわけです。

CBの値段が債券価値に近づき値下がりが少なくなる、これがCBの値動きです。そして乖離率はパリティ(株式価値)との側面からの指標に過ぎないのです。
“下値乖離とは、初耳ですね!”
CBの値段は債券価値が下値の限界と見ますので、債券価値を簡単に『下値』と呼んでいます。

ある一定の水準からCBの値下がりが少なくなるのは、この下値(債券価値)が見えてくるからだと考えれば、分かりやすいのではないでしょうか。
ということは、CBがパリティから離れるポイント、(B)は下値によって変わってくることになります。したがって、同じパリティでも銘柄によって乖離が異なるわけです。パリティと乖離率のみでCBを分析しょうとすれば、当然に無理な部分がでて来てしまいます。以前も説明しましたが、CBの分析ではどうしても債券価値(下値)と株式価値(パリティ)の二つのモノサシで測定しなくてならないのです。

(D)の乖離率に注目してください。二つの価値からの乖離が同じですね。下値が93円でしたので、二つの価値が等しいところですから、乖離は当然に同じになるはずなのです。

----------<CBの値段形成>--------------------------------------------------------

パリティ>下値  ⇒  CBの値段=パリティ+プレミアム(パリティ乖離)
  パリティが高くなるにつれ、プレミアムはゼロに近づく

パリティ<下値  ⇒  CBの値段=下値(債券価値)+プレミアム(下値乖離)
  パリティが低くなるにつれ、下値に近づきプレミアムはゼロになる

パリティ=下値  ⇒  CBの値段=パリティ(下値)+最も高いプレミアム
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CBの値段は、下値とパリティの関連から形成されています。この仕組みを参考にして、富士レビオ#2の乖離率の変化をもう一度みてください。CBの値下がりの変化、そして乖離率の広がり方が読み取れるのではないでしょうか?

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2: 二つの価値が近い、ベストポジションが有利
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 “面倒くさいよ。なんで、そこまで詳しく知らなくてはならないの?”
ごめんなさい、乖離率の説明が少し複雑になり過ぎましたようですね。私としては、CBがいかに理論的な値動きをするかをどうしても知ってほしいのです。そして、その理論性が理解できれば、それだけ確かなCB投資が可能になるからです。

<富士レビオ#2に見る乖離の変化>

A(6/10) B(7/11) C(7/25) D(9/11) E(11/21)
パリティ 124.2円 113.0円 103.0円 93.3円 69.2円
126.0円 114.8円 108.4円 104.0円 100.0円
乖離率 .4% .6% .2% 11.4% 44.5%
下値乖離 39.0% 19.0% 26.0%. 11.0% 8.0%.

以前にも、二つの価値が近いところがCBの買いポジションと説明しました。この例では、(D)に当ります。
この(D)で買ったと仮定して考えてみましょう。
株価は値下がりしていますが、CBの値下がり率は少ないですね。反対にもし、そこから株価が上昇していたのなら、(C)→(B)→(A)となりCBはかなり値上がりしていたことになります。

≪株価が上下に動いたとしてのCBの変化率≫ を比較しておきましょう。
【値下がりしました】  CBの下げ率はわずかです

パリティ 93.3円 69.2円 −24.1円 −25.8%
104.0円 100.0円 − 4.0円 − 4.0%

【値上がりしていたら?】  CBはかなり株の値上がり率に近くなります

パリティ 93.3円 124.2円 +30.9円 +33.1%
104.0円 126.0円 +22.0円 +21.0%

如何がですか、この値動きを見る限り、CBはローリスク・ミドルリターンといるのではありませんか。というよりも、この水準に近いCB選んでこそ安全・有利といえるのです。ソニーの買いを反対したのは、ハイリスク・ハイリターンが理由です。

もう一つの見方もあります。株価連動で乖離の少ない(B)で、乖離が少ないとしてソニーのようなつもりで買ってしまったとしましょう。

パリティは113.0円から69.2円まで38.7%の値下がりです。もし株式なら大変ですが、CBはというと、114.0円から100.0円までで値下がりは12.2%に止まっています。株の値下がりの1/3で済んでいるのです。
また、(D)で割安な値段で買うことができたとすれば、損はさらに少なくなります。それだけでなく、値上がりした時の値上がり率はさらに高くなります。このような水準の銘柄を連動期待銘柄と呼ぶことは前回に説明しましたが、損が少なく値上がりの大きいこの範囲を、『ベスト・ポジション』と呼んでいます。

実際に値下がりしている銘柄で、値上がりしたらとの仮定の話しはおかしいと思われるかもしれませんが、理論に沿って動くCBの検証には十分です。

値上がりした銘柄を例にとって、ここで買ったからこれだけ儲かったと自慢するのは簡単ですし、その例も少なくはありません。値下がりしたものでも、ここで買っても損は少なく済むということを理解していただく方が、今後の貴方のCB投資に対する自信につながっていきます。それと言いますのは、株価がどちらに動くかの判断よりも、駄目な時のリスク(損)を知る方が重要だと思うからです。

上がる・下がるの予測は難しく、なかなか予測通りにいかないものです。当って儲かったが、外れて損をした。そしてその勝率が5割では、トータルでは儲かる筈がありません。しかしベストポジションのCBを買う限り外れても損は少なく、当って儲けが大きいのであれば、5勝5敗でもトータルでは必ずプラスになる筈です。

私はその信念のもとに、この転換社債投資入門を書いています。

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3: 銘柄選びのコツは?
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 今買えるCBはありますか?どんな銘柄を買ったらいいでしょうか?
何時も聞かれる質問です。皆さんが一番知りたいことですね。でも、ときにはこんな要求もされます。

“理屈はいいから、儲かる銘柄を教えて!”
最も正直な質問ですが、その類の質問には答えたことはありません。値上がりするかどうかを的確に読むなど考えられない自分に、答えられ訳がありません。仮に正確な予測が可能だとすれば、これまでCBのややこしい説明はしてきません。先が読めないからこそ、リスクヘッジを基本にした方法を紹介しているのです。

さて、銘柄選びです。
「他人任せでなく、自分なりの目を養う」、「自分の投資スタンスに合致した銘柄の選択」、これが基本です。今回は私が選んだベスト・ポジションのCBと、その考え方を紹介しておきますので参考にして下さい。

三益半導 #5
パリティ:75.8円  ( 転換価格:1,418.0円  株価:1,076円)
B :93.0円  パリティ乖離:22.6%  下値乖離:2.0%
下値 :91円 上方連動率:0.6 下方連動率:0.1 最終利回り:1.49%

ここに表記されている数字は、これまでに説明してきましたものばかりです。その数字(情報)から、次のような考え方をします。
HPのCBチャートをご覧になり、一緒に考えてみましょう。
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http://www.takeuchi.gr.jp
(CBチャートの作成、読み方は 「転換社債“超”投資法」をお読み下さい。)
ご希望の方は、鞄ッ友館まで⇒http://www.doyukan.co.jp
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1.連動期待の水準にある   下値:91円  パリティ:75.8円
2.割安で利回りが高い、          最終利回り:1.49%
3.株価上昇時の連動率が高い、    上方昇連率が0.
4.下値に近く値下がりリスクが少ない、下方連動率が0.
5.下値乖離率が低い            最大リスクが2%

利回りが高く株価が値下がりしたケースでもリスクが少なく、株価が上昇すればCBも値上がりする水準にあるというのが、選択の理由です。
このように理由を説明して買いを薦めると、必ず返ってくるのが “株の予測は?株が上がるから買えるのですか?”の質問です。
損が無いのであれば、上がる方に賭けてみたらどうでしょう…、これが私のいつもの答えです。オウム返しという表現がありますが、まさにその通りです。

株価分析に一生懸命の方には、いい加減に映るかもしれません。でも、株価の方向を100%は無理にしても、70%でも予測することは至難の技ではありませんか。出来たとしても3割は外れるわけで、その時には損切りをしなくてはなりません。その損切りが、このCBなら2%で済むのです。損の少ない株式となれば、それほど深刻に上下の予測をする必要もないのではありませんか。

それでも、株価が値下がりしたら儲からないという方は逆裁定を組んでおけば良いのです。実はこの三益半導#5は、先週のレポートの推奨銘柄です。

どのような分析をし、どのように判断するのか参考までに紹介しておきますので、長くなりますが一読ください。

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Eメール・レポート (2002/11/22)
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不透明な相場環境下でのCB投資、と云うよりも「先が読めないからこそのCB」と云う方が的をえている。リスクの少ないCBなら、株でいえば底打ちの銘柄と同じだ。
何時上昇するかどうかだけで、下げの心配は不要だろう。
そして、もしの場合は裁定を組んで下げをプラスにも変える手法も取れる。

----来週のテーマ----------------------
逆裁定で、相場は相場に聞け
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★8155 三益半導体#5  転換価格:1,418.0円  利率:0.00%
<考え方>
下値限界まで値下がりした三益半導#5、利回りも1.49%と高く買っておきたい水準である。前々回は、まだ値下がりリスクが有りとして#4を取り上げたが、最大リスク2%のこの水準であれば問題はない。
株価は底値圏にあり反転が期待できるが、株式市場全体の動きからまだ値下がりがあるかも知れない。いったいどちらに向かうか?そこで、逆裁定。

<シュミレーション>
CBを額面で100万円買う
転換株数=100万円÷1,418.0円=705株

☆ 100株売りの比率=100株÷705株=0.14
株価が2割高したら
株価 1,076円⇒1,291円 +215円    −21,500円
CB  93.0円⇒100.0円  +7.0円    +70.000円
---------------------------------------------------
                     差し引き +48,500円
株価2割安では
株式 1,076円⇒861円  −215円    +21,500円
CB  93.0円⇒ 91.0円  −1.0円    −10,000円
---------------------------------------------------
                     差し引き +11,500円

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☆ 200株売りの比率=200株÷705株=0.28
株価が2割高したら
株価 1,076円⇒1,291円 +215円    −43,000円
CB  93.0円⇒100.0円  +7.0円    +70.000円
---------------------------------------------------
                     差し引き +27,000円
株価2割安では
株式 1,076円⇒861円  −215円    +43,000円
CB  93.0円⇒ 91.0円  −1.0円    −10,000円
---------------------------------------------------
                     差し引き +33,000円
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選択:1
株価が値下がりしてもCBのリスクが最大2%であれば、CBを買い値上がりに賭けて待つ。これが一番単純な方法。

選択:2
株価値上がりでもプラスになるのであれば、100株売って株価値下がりした時に備えヘッジをしておく。株価が値下がりした時には、株式だけ買戻をしてCBは持続する。売り株のプラス分は、CBの買いコストの下げになり再度の値上がりを待てる。

選択:3
200株売りの裁定比率は中立に近いので、株価の上下に関係なくプラスになるはずだ。相場環境からして、株価の動向を読むよりも、株価の動きに関係なくプラスになるのであれば200株売るほうが確か。株価が値下がりしたケースでは、選択:2と同じ考え方をする。

結果はともあれ収益が異なるだけで、どの選択でも間違いではない。
選択:2、3であれば、あとは株価が上下どちらでもいいから大きく動くのを待つだけで良い。

選択4としては、株価の値下がりを狙うのであれば300株まで売ることもできる。

以下は省略します。

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上がるか下がるかの不確定な予測ではありません。CBの理論性に照らした分析をして、自分自身の方法で、自分にあった銘柄をさがしていくわけです。

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----------CBメールマガジン----------------------------------------------------------

   転換社債投資入門    2002/12/03  第9号

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■今週の目次
1:リスクを忘れた結末は?
2:スイッチングで、堅い運用
3:リスク限定で、儲けに挑戦?
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1: リスクを忘れた結末は?
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 先日、電話を取るといきなり“以前にお邪魔しました○○ですが、覚えていますか?” 
と聞かれましたが、思い出せませんでした。
“先生から言われた通りになってしまいました。株で2千万円の損をしてようやく損をしない工夫が大事だと悟りましたが、チョット遅すぎたようです。”
そして、話しはさらに続き、
“あの折り、損切りさえすれば株も悪くないはずで、自分ではCBと同じ考え方ができると豪語したのですが…。なかなか損切りはできないものですね。”
損切りの話しを伺ってようやく思い出したのですが、昔の会員さんで、CBは儲けが少ないからといって株式に方向転換をした方でした。
“心を入れ替えて、実は転換社債を買いました。銘柄は宇部興産の3回債ですが利回りが3.7%もあるし、これなら銀行にお金を入れておくよりもよっぽど得だし、損はしないと思いますがどうでしょうか?”

株式投資とは極端な変わり方ですが、60歳を越えている○○さんのお年からすればお金は守る方に向かうべきで、それには連動しないCBでも利回りの高い銘柄なら良いのではないかとの結論にいたりました。
同債は下値を割り込んでいる分4、5円の値上がりはありますが、株が2倍になっても連動高はしない旨お答えしました。ただ、株式相場が好転した時にどこまでいまの気持ちが守れるか心配もあります。

また同じ日、CBは研究の最中ですがどの程度のパフォーマンスが期待できるのでしょうかとの質問を受けました。
そのAさんがいうのには、自分は年率にして5%なら大満足とのこと。それには私も驚きました。というのも、質問をしてこられる殆どの方は、CBでも年に2〜3割は儲かるのではとの期待を寄せているからです。それも株式投資で損をしているのに…。
“株式投資は結構長いのですが、それでも儲かったり損したりでなかなか平均して5%を取るのは難しい。” とAさんは現実を素直に見つめていらっしゃいました。
おそらく、シッカリしたAさんですからCBでは成功するでしょう。まだお若いようでしたので、先が楽しみな方です。それもAさんはどちらかといえば、理論派だからです。

そのAさんが、CBの分析ソフトについて興味も持たれたようでした。
ここで、お許しを頂いて皆さんにも少し宣伝させてください。
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転換社債分析ソフト 『CBフレンド98』の特別キャンペーンを実施しています。
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さて読者のあなたは、CBにどのような期待をお持ちですか?
堅くいきたい?それとも大きく儲けたい?それぞれでしょうが、ご自分の投資理念
(少しオーバー?)を踏まえて先をお読み下さい。

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2:スイッチングで、堅い運用
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 前回、ソニーの買いを反対したのはハイリスク・ハイリターンが理由です。
それでも、買えないと言ったソニーの転換社債が値上がりしています。それは、株価が値上がりしてCBも連動した結果です。普通なら、外れたではないかといわれることでしょう。でももし株が値下がりしていたら?言うまでもなくCBも間違いなく値下がりしています。
先を予測しての反対ではないのです。リスクが大きいからCBとしては買えないという意味での反対です。ところで、買い銘柄として三益半導#5の分析をしました。
皆さんは、既にソニーと三益半導の値段はチェックされたと思いますが、ここで比較してみましょう。

11月21日 11月29日 値上がり率
<ソニー #4>
株 価 5,200円 5,420円 + 4.2%
C  B 141.6円 146.3円 + 3.3%
<三益半導 #5>
株 価 1,076円 1,222円 +13.5%
C  B 93.0円 98.3円 + 5.7%

ソニー#4は株に近い値上がりですが、三益半導は株の上昇率の4割程度です。この違いはどうしてか分かりますか?
そうです、ソニーは株価連動の水準にあって、三益半導は連動期待の水準にあったのが理由です。
三益半導の上方連導率は0.6といいましたが、今のところの結果では4.2ですが、それは現在値がまだ割安であるからです。
妥当値は100円です。その妥当値で計算したCBの値上がり率は
100÷93×=7.5%になります。
そして連動率は
7.5÷13.5=0.55になり、最初の予測の連動率に近づきます。

この数字からだと、どちらを買っても良かったかのように見えますね。
ところが、それは大違いです。もし株が20%も値下がりしていたらどうなっていたのでしょうか。ソニー#4を買った人は、株と同じように20%の損をしてしまいますが、三益半導#5を買った人の方は、1〜2%の損で済んでいた筈です。
どうしてそんなことが言えるのか?
これまで勉強してきました復習でもありますが、三益半導の下値(債券価値)が91円で、そこが値下がりの限界ということを思い出してください、もう一度掲載しておきましょう。

--------先週の分析------------------------------------------------------------------
1.連動期待の水準にある   下値:91円  パリティ:75.8円
2.割安で利回りが高い、         最終利回り:1.49%
3.株価上昇時の連動率が高い、    上方昇連率が0.6
4.下値に近く値下がりリスクが少ない、下方連動率が0.1
5.下値乖離率が低い           最大リスクが2%
利回りが高く株価が値下がりしたケースでもリスクが少なく、株価が上昇すればCB
も値上がりする水準にあるというのが、選択の理由です。
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損が少ないからという理由で買ったものでも、上がる時には上がるものです。それがマグレでもかまいません。外れた時のリスクヘッジが確実なのですから。

前出のAさんのような考えの方なら、ここで売却もできるでしょう。
“え!たったの5〜7%で売ってしまうんですか?”
大きな儲けを期待している人、またこれまで損をしている人が挽回しようとすれば当然売れないでしょうが、Aさんように堅い人にとっては十分のはずです。
そしてまた次にリスクのない銘柄を買えば良いのです。2〜3ヶ月後に5%の利益を上げられたらどうでしょうか、言うまでもありませんよね。

割安から割安へと乗り換えていく、この方法を我々はスイッチングと呼んで、CB売買の基本としています。
勿論高値で売却するに越したことはありませんが、株のどこが高値か読めるのなら苦労はしません。それでも、CBは割安と割高が分かります。そこにスイッチングの方法が成り立つわけです。
要は、投資家さん自身の考え方次第でしょう。
もし乗り換えた銘柄が1年動かなかったら?そんなケースもよくあります。
それでも損がなければ、年で5〜7%にもなるのですよ。
損するより余程のパフォーマンスではありませんか。

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3: リスク限定で、儲けに挑戦?
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 “CBは堅過ぎて自分の性に合わない” とか “どうもカッタルイのでつまらない”
などといわれることも少なくありませんが、そんな事はありません。
そういう方は、それなりのCBを探せば良いのです。ただ、リスクを計算しますので、銘柄は限られてしまいますのがチョット残念です。

実際に、我々も攻勢に出る時もあります。それでも、リスクは必ず計算して納得ずくで向かいます。
儲け先行で大損した○○さんのようにならない為にも、リスク感覚は絶対に欠かせないのです。先週のレポートがその例ですが、参考にして下さい。

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------[ 会員さん向けのレター ]--------------------------------------------------------
前文省略
株価の先行きの見方が分かれるということは、上昇の可能性もあるということだ。我々は株式ではなくCBを買うわけだから、下げを気にすることもない。裏目にでたとしても、儲けが先に伸びるだけのことで大損にはつながらないのが株式投資と違うところだ。 ここは株式市場の上昇に期待して、松下電産、浜松ホトニクスともに割高を承知した上で取り上げてみた。挑戦しない限りリターンはゼロだが、それでもこの水準はミドルリスクで株とは比較にならない。勿論割安銘柄を買うのは基本だが、時には冒険も必要ではないだろうか。
上がるから買うではなく、損が少ないから買う。

安全、利回りの高い銘柄との組み合わせで、次の2銘柄も掲載しています。
★松下電産 #6
      株価: 1,257円   パリティ: 77.5円
      CB:  106.0円    乖離率:  36.6%
     上方連動率:0.35   最大リスク: 5%

★浜松ホトニクス #3
     株価: 2,200円    パリティ: 81.1円
     CB:  106.5円     乖離率:  31.2%
     上方連同率:0.45    最大リスク:10%
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また、積極的な投資のポイントを理解頂きたいと思いますので、Eメール・レポートでの推奨銘柄も紹介しておきます。

--------Eメール・レポートより----------------------------------------------------------
株価市場にかすかでも明るさがみえ、先高期待が高まってきたのであれば、それはCBにとっては好材料。ここからはリスクの限定されたCBで強気に攻めていきたい。
それでも、再度反落したら? その時の為のCB投資だ。

予測は外れるもの、期待は裏切られるものだけに 『リスクヘッジ』は不可欠。
==== 来週のテーマ ====================
CBで、リスク限定の株式投資
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★4544 富士レビオ#2  転換価格:1,019.0円  利率:0.00%
     株価:767円  パリティ:75.2円     最終利回り:−0.01%
     CB:100.0   パリティ乖離:32.9%  最大リスク:5%

<ポイント>
● 株価の振幅が大きい
株価は半値近くまで下がり、ソロソロ反転しても好い時期か?戻りに入ると、振幅が大きい株だけに高値が期待できる。ただ週足では、まだ下値不安もなくはないが買うのはCB、今の水準なら値下がりは気にすることもない。

● CBの連動は…
どこまで株が上昇するかだが、株価が900円を越えるあたりからCBの値上がり率は高くなるので、目先の連動率の低いのは目をつぶる。
 (添付のCBチャートを参照)

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上記の三銘柄、値上がりするのかそれとも失敗するのかわかりませんが、それでもトライしない限りリターンはありません。仮に失敗したとしても、リスクはいずれも限定されているのです。
このように時としては、CBでバクチをすることもあります。

“これまでの堅い話しとはずいぶん違いますが、人が変わったのでは?”と不思議に感ずるかもしれませんね。
でも、全く基本的な考え方は同じなのです。バクチといっても丁半ではなく、損の少ない範囲内での事です。
「儲かるか損をするか」 ではなく、「儲かるか儲からないか」 の違いを理解してください。
CBをつまらないと感じている方、CBを損の少ない株式と捉えて考え直してみてはいかがですか、結構おもしろい面もありますよ。
来週は、「CBで株式投資」にスポットをあてることにしましょう。

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----------CBメールマガジン----------------------------------------------------------

   転換社債投資入門    2002/12/10  第10号

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■今週の目次
1:CBで株式投資、その1
2:CBで株式投資、その2
3:株?それともCB?
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1: CBで株式投資、その1?
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 いきなりぶしつけな質問ですが、株式投資では儲かっていますか?
勉強会などでも同じ質問をしますが、殆どの人の答えはNOです。いったい、どこにその原因があるのでしょうか。
“あの銘柄では儲かったんだがこの株では損して、結局のところ現在は損勘定” とか、“あの時ロスカットをしようと思ったのにできなかった。考えた通りに実行していれば…” といった類の話しはよく聞かされます。

バブル崩壊後のこと。ある会員さんが病院に入院することになり、持ち株を全部売却してから入院したそうです。その後の株価は皆さんもご承知の通りですが、本人は病気が自分にとっては、財産を守るという面では幸運だったと語っていたことがあります。“もし病気にならなかったら、とても損をした状況で持ち株は売れなかったでしょう。財産が1/3以下になるところ、病気に救われ本当にラッキーでした。病気も幸運とは変な話しですね。”とロスカット(損切り)の大切さを実感していました。

株で儲け切るには、多くの方が言うように、自分自身の判断で損切りを実行する以外ないと思います。とは言っても、頭では理解していていながらできないのが損切りの難しいところです。
それでも、多くの投資家は 『損切さえできれば株で儲けられる』 と言います。

それなら値下がりに強いCBの特徴を投資に取り入れたらどうでしょうか。どうするか、株式と比較しながら一緒に考えて見ましょう。
CBが好ポジションにある、シスメクスの1回債を取り上げます。
<6869 シスメックス#1> 転換価格:2,480.0円  利率:0.2%
  株価:2,550円  パリティ:102.8円  残存期間:1.3年
  CB: 105.3円  乖離率:2.43%   最終利回り:−3.63%
  上方連動率:0.90 下方連動率:0.45 最大リスク:5.0%
下方・上方連動率の数値から、株が値上がりすればCBもほぼ同じに値上がりし、株が下がったときには損は株の半分で済むのは、もう理解できますね。

株が20%値下がりした時のCBの一時的な損は9%以内で済み、しかもさらに値下がりして半値になったとしても最大のリスクは、100円の償還が約束されていますので5.8%です。これなら株価がどんなに値下がりしても、自動的にロスカットが働くと考えてもいいのではありませんか。

ここで、CBを株式に置換えて説明します。

●1.3年後に100円で償還
     ⇒1.3年後に1000円の買戻しの約束された株を1,062円で買う
      どんなに悪くても、62円の損で済む
●上方連動率が0.9ということは
     ⇒少し値上がりの少ない株式
●下方連動率が0.45ということは
     ⇒値下がりが株の半分以下のもうひとつ株式

ここまで計算が成り立つのであれば、もう失敗は怖がる必要はありません。損切りの幅が最大62円の株を1000円で買うのであれば、何時でも前向きに挑戦できますよね。

“でもシスメクスは株価的に魅力が少なく、買う気になれない…”
この株を買っている人もいるから値が付いているわけですが、人それぞれですからね。では、売って見たら如何ですか?といえば上がったらどうするのと聞かれます。かように株価の先行きは分かりにくいものなのです。ここは、また裁定の組める位置でもありますから、あなたの考え方次第では他の方法も取れます。
しかも、リスク限定で、またはノーリスクで!

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2:CBで株式投資、その2
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“ローリスクは分かったけれど、ノーリスクとは損をしないことだよね。そんなうまい話しがあるわけないでしょ。” 皆さんもそう思っていらっしゃいませんか。
では、ローリスクがどうしてノーリスクに変わるのか説明することにしましょう。
株が下がるからCBも値下がりするわけです。では、株式の信用売り(空売り)を合わせたらどうなります?
覚えていますでしょうか、わずかな値下がりのリスクさえも、ヘッジする方法もあるのという第6号の裁定取引のお話し。

ここで、もう一度復習して見ましょう。
~~~~~~第6号より~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「風が吹けば桶屋が儲かる」の論法で考えてみましょう。
----<考え方>---------------------------------------
株価が下がるから、CBも下がる。
株価が下がって儲かるのは、信用取引きを利用した空売り。
ならば、空売りをしてCBの値下がり分をカバーすればよい。
----------------------------------------------------
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
シスメクスの株が2割安の2050円まで500円値下がりしたとしても、CBは99円前後までしか値下がりしません。この105.3円から99円までの6.3円の値下がりをカバーするために空売りをすれば良いのです。
空売りして株価が500円(20%)値下がりした時の評価益は
 100株×500円= 50,000円
 200株×500円=100,000円
 300株×500円=150,000円
 400株×500円=200,000円
となります。CBの損が6.3万円ですので100株の売りではまだ少しマイナスが出ますが、200株の売りならCBの6.3万円のマイナスをカバーしてお釣りまだも出ます。
これで、ローリスクがノーリスクに変わってしまいます。

反対に株が値上がりすれば、200株の空売りでは10万円の損になってしまいますね。でもCBは値上がりしますので心配は要りません。
本当にCBは値上がりするの?勉強会や電話でも決まってされる質問ですが、間違いなく値上がりします。それは、株価が上がればCBの株式価値も上がることは、これまでも繰り返し説明してきました。

株価が500円高の3,050円でのパリティは
3,050円÷2,480.0円=122.9円
株に換えて売却したとしてのCBの価値が122.9円あるわけですか、値段は123円前後には必ずなるはずです。122.9円として、100万円では17.6万円のプラスになります。
それでは、株が下がった時上がった時の、差し引きの損得勘定がどうなるか下表にまとめてみましよう。

<株価下落時の差し引き収益> <株価上昇時の差引き収益>
株式 CB 差し引き 株式 CB 差し引き
100株 5万円 −6.3万円 −1.3万円 − 5万円 +17.6万円 12.6万円
200株 10万円 −6.3万円 3.7万円 −10万円 +17.6万円 7.6万円
300株 15万円 −6.3万円 8.7万円 −15万円 +17.6万円 2.6万円
400株 20万円 −6.3万円 13.7万円 −20万円 +17.6万円 −2.4万円

200株か300株の売りであれば、株がどちらに動いても損にはならないことが分かるでしょうか。損をしないでどちらかに期待を持つとすると、上げなら200株、下げなら300株売っておけば期待外れでも損にならないことになります。
100株売りのケースですと、裁定比率が下方連動率よりも低い分マイナスになってしまいます。逆に400株の裁定比率は上方連動率を超えますから、これもマイナスになってしまいますよね。

上方・下方連動率及び裁定比率は、参考図にありますのでご覧下さい。
参考図⇒http://www.takeuchi.gr.jp/chart.2html
(かなり割高の時期もあって、現在は好ポジションにあることも読みとってください)

なるほど、400株売って値上がりして損が2万程度なら、空売りのヘッジに使えそうだ。見るところは見ますね!その通りなのです、読み取ってほしかったのはそこなのです。株価が急騰した後なら、即実行したいCBの水準ですが…。
空売りの好きな方には、是非この方法を取り入れて頂きたいものです。

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3: 株?それともCB?
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 シスメクスなんて、お呼びじゃない!そう言われては、仕方がないですね。
それでも、貴方がリスクの少ない投資を続けていかれるのであれば、これまでの説明は絶対にお役に立つと信じています。シスメクスは一例ですので、株を買うまたは空売りをしようとした時、CBの利用方法を思い出してください。

そして、次のような方法をお勧めします。
<新規買い>
1.有望株があったら、CB発行の有無をチェック
2.CBのポジションが良かったら、株ではなくCBを買う
3.リスクの幅によっては、ヘッジとして裁定を組む
  CBを買って、株式の空売りをする
<空売り>
1.売りたい株があったら、CBの有無をチェック
2.乖離率と連動率を調べる
3.下方連動率が低い(CBの値下がり率が低い)場合は
  空売りをして、ヘッジに必要なだけのCBを買う

総論で株式とCBのどちらが良いかではなく、この銘柄はCBの方が安全とか、空売りのリスクヘッジにCBが働くというような分析をして下さい。

振りだしに戻りましょう。
シスメクスの株、でもCBがあります。株それともCB、また両方を組みあわすることによって、投資の方法はさらに広がります。そしてリスクの少ない投資に変化させることも可能になります。
あなたは、どの選択をしますか?

〜〜〜〜 どれも間違いではありません 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1 シスメクスは興味がないから手を出さない  正解?(笑)
2 株を買ってみたい
3 損が少ないのなら、株でなくCBを買ってみよう
4 CBを買い、リスクをヘッジに100株売ってみよう
5 CBを買い、200株売って値上がりを待ってみる
6 CBを買い、300株売って株価の値下がりをまつ
7 株は値下がりしそうだ、400株売るのにCBを100万円買ってみよう
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

どれがベストかを、私には聞かないで下さい。これまでもご説明しましたように、投資家さん個々の投資に対する基本姿勢が優先です。
絶対に損をしたくないのであれば、当然(1)ですよね。でもそれではチャンスはありません。ローリスク・ハイリターンでとなれば、(3)のCBを買うと言う事にないます。
そのなかでもリスクをさらに少なくとなれば、(4)か(5)を選ぶべきでしょう。

また、こんな考え方もあります。「手持ちのCBは安全なものばかりだが、相場が好転しないとプラスにならない。相場が下落した時にプラスになる銘柄がほしい。この株が下がるかどうかは別にしても、全体のポートフォリオから(6)か(7)を選択してバランスをとっておく。」 これは、当会の会員さんに多くみられる発想です。シスメクス株が値上がりした時には儲けになりませんが、個別銘柄に拘らず資産全体を少しでも安全・有利に運用しようとする姿勢がベースにあるからでしょう。

ごめんなさい、ついCBに話しが飛んでしまいましたが、テーマは「CBで株式投資」でした。空売り志向の方なら、(7)を選択することでしょう。これなら外れてもリスクはわずかで済ますことができます。シスメクスが売りに適しているかどうかではなく、空売りのヘッジにCBを利用する方法を勉強しておけば、もう空売りは怖いものではなくなります。貴方の投資は、より確実になるでしょう。

如何でしたか、たかが転換社債されど転換社債です。
損切りさえできれば、株で儲けられると信じていても実行できない貴方。また損切りが株式投資の極意であるとするなら、リスクが限定されているCBならその極意を簡単に遂行できます。言いかえれば、CBなら儲けられるという理屈が成り立つはずです。

損切りが株式投資成功への最良の手段⇒CBは自動的に損切りができる⇒なら「CBで株式投資」は成功への近道…。 この三段論法が、本日の結論です。

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----------CBメールマガジン----------------------------------------------------------

   転換社債投資入門    2002/12/17  第11号

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■今週の目次
1:CBで、本当に儲かるの?
2:損のない空売りなら逆裁定
3:相場を読むよりも…
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1: CBで本当に儲かるの?
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今日は難しい計算も解説も省き、コーヒーブレイクといきましょう。コーヒーでも飲みながら気楽に読み流してください。
先日、読者の方からお電話を頂きました。
“安全だ、リスクが少ない。かなりくどい説明ですのでそれは理解できました。しかし
理論的でも、幾ら安全であってもそれだけで本当に儲かるのですか?”
そんな疑問をお持ちの読者の方は少なくないでしょう。
CBの説明にあたっては、「儲かる」という言葉はあまり使いたくないのです。儲かるとなれば、普通は大きく値上がりするとことをどうしても連想しますでしょう。でも我々は、トータルで資産を殖やす為の運用という考え方を重視しています。年間で資産を5%、また10%殖やすにはどうするか、その手段としてリスクの少ないCBを利用するだけのことです。
そうはいっても、やはりCBが値上がり(儲かる)しなく
てはトータルでも殖やすことは不可能になってしまいます。それでもCBが有利というからには、値上がりする銘柄もあるからです。

参考にこれまで儲かった(?)銘柄を紹介してみます。

/14 高値(10/ 12/12
  8086 ニプロ#2  107.3円 153.0円 127.0円
/28 高値(7/22 12/12
  7516 コーナン商#1  107.3円 207.0円 135.0円

この2銘柄は、昨年(平成13年)のもっと安い水準から買っています。ただ会員さんがどこで売られたかは定かではありませんが、少なくても15〜20%以上は取っているでしょう。

あまり値幅はありませんでしたが、USS#1もあります。
13年12月21日に96円、今年3月22日に101円の買いです。その後118円まで値上がりして、12月12日現在は115円です。この銘柄に関しましては、CBを安く買った人が9月の株価が高くなった時に裁定をかけていました。そして株価が下がった時買い戻しをして、CBはそのまま持続しています。逆日歩をかなり払ったようですが、それでもCBの値上がりを待つ間のツナギ売りでコストを下げています。

直近では、セガ#5を11月20日に92円で買い、11月29日に108円で利食うという離れ業をなさった方もいいます。たった一週間で、17%ですよ!

またこのメルマガの読者の方なら、三益半導も93円から100.3円まで7.8%値上がりしましたのはご存知でしょう。

“数にしても、値幅にしてもたいした事はないですね。やはりCBは儲けが少ない”
そんな不満そうな貴方の表情が目に浮かびます。では株式投資をされてきた人のパフォーマンスはどだったのでしょうか?聞いてみたいですね。

『凍傷株価』って知っていますか。テレビ番組で紹介された、今年生れた四文字熟語ですが、それほど株式相場が悪かったのです。普通に売買をしていたのでは儲かるはずがありませんよね。その中でも値上がりしている株もありますが、我々の買うCBは連動期待の水準という条件付きですから、数はさらに限られてもしかたがありません。

ただ、買った水準が違います。もし、上記の銘柄の株が下落していたらどうでしょうか、損はほんの僅かです。損のないところを買って値上がりしたところにCBの意味があるのです。またもし相場がよかったら?勿論他の銘柄も値上がりしています。
「たら・れば」なら誰でも儲けられますよね。
分かってほしいのは、損のないCBでも株さえ上がれば値上がりし、駄目な時は損が少ないことです。そしてトータルでプラスにできると言う事です。以前にもお話ししましたが、買う銘柄の全部が儲かるなどとは考えていません。それは、勝率が5割でも差し引きでプラスになる方法を実践しているからです。

それにつきましては、HPの 『CBで賢い資産運用』をご覧下さい。
説明は⇒http://www.takeuchi.gr.jp/info/asset.html
如何ですか、損を少なく押さえてあれば儲かった銘柄が少なくてもトータルではプラスになるのです。

“相場が悪いときは売るのが当然だろう。予測通りになって俺は、空売りで儲けた”
そう仰る人も多いのではありませんか。株が軒並み下がりましたから当然ですね?
それは、我々も同じです。

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2: 損のない空売りなら逆裁定
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下げ相場のときには空売りをする、株式投資をしている人達にとっては常識です。それなら今年は皆さん大儲けしている筈ですが、どうなんでしょうか?
会員のAさんも、コジマを7月に2,000株売っています。株は半値以下になりましたのでかなりの儲けになっています。結果のでた今なら、誰でも空売りは出来たといえるでしょう。でも大きく値上がりし一押しの後の戻り局面です、前の高値を抜いたら大相場などと考えたら売るのはそれほど簡単ではなかったと思います。でもAさんは、いとも簡単に実行しています。なぜ?そうですCBを買ってリスクヘッジができることを知っていたからです。

Aさんは2000株売るのに、コジマの2回債を200万円買いました。
/10 12/12 損  益
  株価   1,520 675円  −845円   +,690,000
C B 100.2 96.8円 −3.4円 −  68,000
   差し引き +1,622,000円

結果からいえば、CBを買ったのが無駄に見えますね。でもその考えではこれまでの勉強が活きませんですよ。CBがあり、しかもヘッジの働く水準にあったからこそ、心配せずに2,000株の空売りができたのです。

株価が値上がりしても、本当に大丈夫だったの?答えはCBチャートにあります。
CBチャートを用意しておきますので、確認して下さい。

参考図⇒http://www.takeuchi.gr.jp/chart.3html

下げ相場でも空売りのが出来ずにチャンスを逃した方、それはどこまで下がるか分からないだけでなく、万一担がれて損をするのが怖かったからです。Aさんは、相場の読みでなく、外れた時のリスクヘッジに確信を持っていたからこそチャンスをもの出来たのです。その違いを是非忘れないでおいて下さい。実はまだ他にも理由がありますが、それは後の章をお読みいただければ納得されることです。

その他にも次のような例があります。
カゴメ#3  CB200万円で、1,000株売り  裁定比率:0.56
  株価  (8/9) 971円 695円

+276,000円

  CB  103.0円 100.4円 − 52,000円
差し引き +224,000円

旭電化#3 CB200万円で、2,000株売り  裁定比率:0.81
  株価 (7/25) 729円 586円

+286,000円

  CB  101.4円 100.0円 − 28,000円
差し引き +258,000円

富士レビオ#2 CB200万円で、2,000株売り  裁定比率:1.02
  株価 (7/24) ,069円 773円

+592,000円

  CB  107.5円 100.8円 −134,000円
差し引き +458,000円

富士通#9 CB200万円で、1,000株売り  裁定比率:0.50
  株価 (7/23) 804円 386円 +418,000円
  CB  103.5円 100.5円 − 60,000円
差し引き +358,000円

以上は会員さんの実行した銘柄です。詳細な値段までは把握していませんので、その日の終値で計算をしてあります。
出来過ぎじゃないの?勿論、逆裁定でも失敗はあります。裁定は組んだものの株価があまり動かず、サヤが広がらないので手数料分のマイナスというケースもあります。それでも、大きな損失はありえません。
参考銘柄のCBのマイナスを見て、仮にCBの買いだけだったとしても、損は少なかったことを読みとって下さい。理論の成り立つ水準のCBを利用している限り失敗しても損がないのです。損のない銘柄しか選択しないのです。
軒並み値下がりしている中で、裁定銘柄が少ない理由はそこにあります。

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3: 相場を読むよりも…
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リスクの少ないCBを買い、値上がりを待つ。株価分析に力を注いでいる方には、いかにもいい加減な手法に受け取られるかも知れません。でもリスクヘッジと言う点では、完璧です。その投資の基本が確かであるからこそ、平気で値上がりを待つと言えるのです。どんなに素晴らしい分析・予測をしても、外れて損をしては意味がありませんよね。100%あたる予測などありえませんから…。

安全だから買えるし、買えたからこそ、ニプロやコーナン商事、そしてセガのような値上がりを手にすることが出来るのではないでしょうか。私はそう確信しています。
その一方では、逆裁定を組み値下がりヘッジし、さらに売り比率に変化を持たせてプラスにする方法もとっているのです。

相場を予測するのとどちらが楽でしょうか?
そして、どちらが確実でしょうか?

ここで、チョットAさんの考え方を紹介しておきましょう。皆さんも参考にされてみたら如何でしょうか。

----- Aさんの考え方 ---------------------------------------------------------------
相場がどちらに動くか自分には判断できないので、どちらに転んでも好いような工夫をしておく。
● 相場が好転した時にプラスになるCBを、複数買っておく。
  リスクの少ない銘柄の組み合わせなら、悪相場でも心配はない。
● 相場下落時に役に立つものとして、逆裁定をセットしておく
  値上がりしても損の出ないような逆裁定を組んでおく。
  値下がりした時に、プラスが大きくなるような裁定比率にする。
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相場の良い時には、CBも値上がりします。そして悪くても損は少ないが、それだけではプラスになりませんから、その時に役に立つ逆裁定をセットしておくという総合的な運用手法です。それほど個別銘柄には拘ってはいません。
予測に明け暮れ、株式相場に一喜一憂している投資家さんに比べれば、Aさんは非常にシンプルではありませんか。ですが、CBの特徴を見事に活かし、儲ける(資産運用)為の的をしっかりと射ています。しかも特別な考えではありません、日常生活の常識的な見方を運用に取り入れているに過ぎません。私はそう解釈しますが、皆さんはどう思われますか?

Aさんは、ニプロもUSS、三益半導も買っています。そして逆裁定を組んだ銘柄は、コジマの他にも数銘柄あるようです。

“CBで本当に儲けられるの?”
お答えする前にもう一度CBチャートをご覧下さい。
三益半導#5の逆裁定⇒http://www.takeuchi.gr.jp/chart.4html
これもAさんのセットした銘柄ですが、損する筈がありません。

CBで儲かるとは言いませんが、儲かる工夫が簡単に出来て、そのチャンスは目の前にあり本人次第です。それはAさんの例をご覧なれば一目瞭然でしょう。
儲かるのではなく、本人の技量で儲けるのです。それには、リスクの少ないCBでの継続的な運用が不可欠。これが、私の答えです。

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   転換社債投資入門    2002/12/24  第12号

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■今週の目次
1:来年こそは、CBで運用
2:株価下落も、好材料
3:転換社債投資の真髄?
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1: 来年こそは、CBで運用
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 早いもので、今年も余すところ一週間になってしまいました。皆さんの投資の成果いかがでしたか、反省と、新年に向けての心構えはもうできましたでしょうか?
毎年今頃になると、いつもながら新春の注目株とか有望株が話題になりますよね。
当会でも年末には、CBによる『新春ポートフォリオ』を会員さんに送っています。
どんな考え、どんなCBを選んでいるかご覧になってください。

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≪新春ポート・フォリオ≫

【A】 安全型   資金 300万円
大きな値上がりを狙うのでなく、手堅く預金感覚でCBでの運用をするための組み合わせ、
それが安全型ポートフォリオ。それでもCBの値上がりも期待できる工夫もしておき、利回り
だけでなく、時には預貯金にはないキャピタルゲインの可能性もあるのが魅力。

              組み合せ銘柄          (02/12/19)
利率(%)  期間(年)  時価(円)  最終利回り
●大王製紙 #5 0.7 5.2 97.7   1.16%
●マ ツ ダ #3 0.0 4.7 94.0   1.33%
●カ ス ミ #3 1.1 4.1 96.1   2.11%

上の組み合わせは、値上がりの可能性あるという条件からのサンプル。
だが、高利回りを重視するのであれば、選定銘柄にはないが次のような銘柄もある。
牧野フラ? 2.7年で最終りまわり4.05%、ベスト電器? 1.1年で3.84%
沖電気? 1.1年で3.01%、CKD? 2.7年で2.89%など…。
ただし株価との連動高はないのを承知しての選択。

【B】 成長型  資金 300万円 
CBの安全・有利性を活かして、株のような値上がりを追及するのが成長型ポートフォリオ。
一般には、ハイリターンを狙うからにはリスクが付きまとうものだが、そのリスクを最小限に
押さえるためにCBで組み合わせ買いをして安全な運用を目指す。

             組み合わせ銘柄          (02/12/19)
利率(%)  期間(年)  時価(円)  最終利回り
●大王製紙 #5 0.7 5.2 97.7   1.16%
●富士レビ #2 0.0 4.0 100.2   −0.12%
●セ    ガ #5 0.4 3.2 98.5   0.87%

富士レビ?の最終利回りがマイナスも、値上がりを追う以上はしかたがない。
キッセイの連動率は低いが株価のうごきが良いことから、この他にも大王製紙、キッセイ、
日立建機という組み合わせなども考えられる。選定銘柄一覧の中から他の銘柄を組み合わ
せたとしても、大きなマイナスはありえない。
     (CBhiパフォーマンスより)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
どうでしょうか、これまで皆さんに勉強していただいた通りの考え方です。

“来年の相場予測もなければ、業績の分析もない。こんな銘柄で儲かるの?”
株式投資の経験が長い方ほど、そんな見方をされるのではないでしょうか。我々の目指すところは、リスクを押さえての運用です。簡単な話し、外れることを前提にして株が上に動いてくれればプラスになるようにしてあるだけです。その中で一銘柄でも値上がりすれば、トータルではプラスのなる、運用とはそういうものの積み重ねではありませんか。
来年、もし日経平均が8千円を割り込んだら、このポートフォリオでは儲からないのは当然ですよね。ところが一味も二味も違うんです、逆裁定を忘れていませんか。
[A]の三銘柄とも、株式を信用で売ることによって、株価値下がりという悪材料が好材料に変わってしまいます。それは、次の章でお話しします。

ところで前号に顔を出したセガ#5、[B]の成長型に入っていますね。再度好ポジションにきたので先週のレポートでも買い銘柄として推奨しました。何故か?用意してありますCBチャートをご覧になって、復習をかねて考えてみてください。
CBチャートは⇒http://www.takeuchi.gr.jp/chart.5html

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2: 株価下落も、好材料
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 株価が値下がりしても好材料とは、これ如何に?
その説明につきましては、参考までに大王製紙#5を選んだ理由をレポートから一部抜粋して紹介いておきましょう。

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<超割安、好ポジション銘柄>
★3880 大王製紙#5  転換価格:857.0円  利率:0.7%
   株価:795円  パリティ:92.7円  最終利回り:1.16%
   CB:97.7円   パリティ乖離:5.3%  最大リスク:3%
   上方連動率:0.85  下方連動率:0.09

妥当値が105円からすると超割安な水準にある。株価は急落から反転?同じ待つなら,
リスクの少ないCBで株価の好転を待つ。
上場銘柄の中では、最高のベストポジションから即買い銘柄。

<好ポジションから逆裁定も可能>
株価週足チャートでは、上も下も考えられるので裁定を組む手もある。
CB100万円買い、1000株売り  裁定比率は0.86
 上限値で、株価値下がりを狙う場合の比率
CB200万円買い、1000株売り  裁定比率は0.43
  中立で、株価がどちらに動いてもプラスになる

※18日の逆日歩が30銭ついていることもあり、逆裁定は時間を置いてからとの手もある。
参考図⇒http://www.takeuchi.gr.jp/chart.6html
  (Eメール・レポートより)
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この逆裁定の裏付けがあるからこそ、悪相場も好材料にできると言えるのです。相場を読むのではなく、相場が悪い方に転んだ時に該当の株式を信用で売れば良いわけですから、別に難しいことではありません。CBを買った時点でセットしておくも良し、株が値下がりしたのを見てからでも遅くはありません。
相場は相場に聞け、こんな格言がありましたね。


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3: 転換社債投資の真髄?
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 前回登場しましたAさん、聞くところによると今年のパフォーマンスは8.5%だったそうです。勿論プラス8.5%ですが、多いですか少ないですか?
Aさんは決してプロでもなければ、また相場上手でもありません。なのに、これだけの悪相場で、このパフォーマンスです。それも儲からないと思われているCBでの運用の結果です。

ではどうして?
株価チャートをみても良く分からないし、相場はもっと読みにくい。だから、ただただ損をしないようにしている。と話していました。その点では、AさんにとってCBがピッタリの商品なのでしょう。私が思うには、その損をしないという理念が投資(資産運用)の原点ではないでしょうか。
投資となれば、とかく株価分析や業績分析に走りがちで、肝心な基本が二の次になってしまうようです。今年は駄目だったと嘆く貴方も、なかには好い思いをした株もある筈でしょう?駄目だったと仰る銘柄の損の幅が、もし僅で済んでいたとしたらどうでしょうか。きっと差し引きではそんなに悪くはなかったとみますが…。

Aさんは、それをCBで実行していただけのことです。これなら8.5%の成績も納得頂けることと思います。
転換社債投資の真髄とはオーバーかもしれませんが、リスクを押さえて儲けに挑戦するところにあります。挑戦しない限り結果は出ませんし、大きな損をしている方法では最終的にプラスにはなりませんから。
来年こそは、貴方もCBにトライしては如何でしょうか。

では、来年またお会いしましょう。 どうぞ良いお年を…。
竹内秀夫
来週の31日は、勝手ですがお休みせて頂きます。

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   転換社債投資入門    2003/01/07  第13号

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■今週の目次
1:預金の延長としてのCB
2:同じギャンブルなら、CBで
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1: 預金の延長としてのCB
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 明けまして おめでとうございます。
今年こそ、投資の成果を上がるようご一緒に頑張りましょう。

では,新春の転換社債投資講座の始めましょう。
これまでの12回にわたる講座に参加され、皆さんはCBをどのように評価されたのでしょうか?
どうしても地味な商品だけに、なじめない面があることでしょう。株式投資のように、動いている銘柄を取り上げたり、人気沸騰の銘柄の分析・解説ではありませんから尚更つまらなく感じるのかもしれません。

ところで、株式投資をしている方はご自分の行為は当然でも、そうでない人も大勢います。その人達からは、株式投資にお金と時間を費やしていることが異常にさえ見えていることをご存知でしょうか。また奥さんに内緒とか、反対にご主人に内緒に株式投資をしている人も少なくありません。そこには、投資というよりも投機=ギャンブルという要素が絡んでいるからだと思います。
奥さんに内緒にという会員さんには、「悪いことするわけではないのですから、自信を持って奥さんと一緒に勉強してください。」 と言うこともあります。

預貯金の延長としてCB投資(運用)をしている人にとっては、決してつまらないとかかカッタルイ訳ではありません。銀行に預金をして、毎日いくら利息がついたか気にする人はいませんよね。それに比較すれば、預金では味わえない刺激もあります、株式投資に近い醍醐味もあるというわけです。

預金感覚で、前回に紹介しました安全型ポートフォリオ。まだわずかしか経過していませんが、値段を比較してみましょう。

02/12/19 (最終利回り) 02/12/30
大王製紙 #5 97.7円 (1.16%) 97.45円
マ ツ ダ #3 94.0円 (1.33%) 95.50円
カ ス ミ #3 96.1円 (2.11%) 98.95円
95.93円 97.30円 +1.37円

年間での運用からすれば気にすることもありませんが、今のところでは預金の比ではありません。この堅さもCB投資の一つです。というよりもこれが基本です。
今後は5円、10円〜20円の値上がりはあっても、5円、10円の値下がりがないのがこれらのCBの特徴です。半年後、一年後に10%の値上がりがあれば堅い人にとっては申し分のない成果です。預金なら、別に急ぐこともないでしょう。
株式投資のように、早い値上がりを狙うと歯がゆいものでも、高利回りの預貯金と考えれば決してつまらないものではありません。

CBでなく、投資家自身の考え方が問題になるわけです。

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2: 同じギャンブルなら、CBで
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 CBでギャンブルとなれば、それなりのやり方もあります。株が動き出した銘柄で連動率の高い銘柄を探すことになります。
ギャンブルとは言葉が過ぎる! でもどんな分析をしても、所詮株式投資は上がるか下がるかの賭けではありませんか。むしろそう考えた方が、投資には役に立つと思います。ギャンブルを正当化しょうとして、その一方では後ろめたさがあるのか奥様に内緒しています。それなりの理論に基づいた運用というのであるのなら、内緒にする必要もないのに。
中には、“儲かるので秘密”と言う人もいるのでしょうが、私の知るかぎりではお目にかかったことがありません。

CBが株と違うのは、リスクの限界が読めることにあります。
株価チャートを見てください、このところ富山化学の株価が26%ばかり値上がりしています。さらななる値上がりを期待して株を買っているわけですが、先の保証が無い限りやはり賭けですよね。間違えればまた20%の損もあるのですから上がる方に賭けているわけです。
その富山化学もCBを発行しています。
同じ賭けなら、どうしてCBで値上がりに賭けないのでしょうか?
負けても損害は少なくて済むのに…。

え!本当なの?
論より証拠、CBチャートをご覧下さい。

CBチャートは⇒http://www.takeuchi.gr.jp/chart.7html

------<富山化学 #1>---------------------------------
 転換価格:464.2円  利率:1.0%  残存期間:2.2年
 株価:390円   パリティ:84.0円       下値:97.6円
 CB:101.0円  パリティ乖離率:20.2%  下値乖離率:3.5%
-------------------------------------------------------

同債の債券価値(下値)は97.6円です。株が値下がりしても、その下値が値下がりの限界ですからリスクは僅ですね。数値でいえば下値乖離利率の3.5%です。この点はCBチャートからはっきりと読み取れる筈です。だから賭けに負けても被害は少なく済むと断言できるのです。
でも連動率は少ないですよね。これだとせっかく株が値上がりした時でも “やっぱりCBはつまらない”−と言われてしまいそういです。
それも承知の上で、富山化学#1を例にしました。読者の方が同債を買っても損をしないようにとの、私なりの配慮からだと解釈してください。転換社債投資入門を読んで、損をしたとは言われたくありませんからね、それが本音です。

もっと効率の良い銘柄はないのか。それは貴方がどれだかのリスクを負えるかによります。仮に5〜10%までならとなれば、連動率の高いCBも選択できるでしょう。

この辺のところは次回にお話しすることにしましょう。

CBがつまらないと言わずに、少し応用の範囲を広げる工夫もできることを知っておいて下さい。
負けた時のリスクを知りながらのギャンブルなら、何も怖くはないでしょう。奥様に内緒でCB投資をするよりも、むしろご夫婦で楽しみながら挑戦してみては如何でしょうか。
会員さんのなかには、奥様の方が成績の良いというケースもあります。

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----------CBメールマガジン----------------------------------------------------------

   転換社債投資入門    2003/01/14  第14号

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■今週の目次
1:CBの値動きも速い
2:CBで株式投資?
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1: CBの値動きも速い
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 前回は、CBでギャンブルを…とかなり思い切ったお話しをしてみました。そして対象銘柄として取上げたのが富山化学のCBでした。
値上がりに賭けた(?)富山化学、たった一週間ですが意外に値上がりしてしまいました。この値動きをご覧になった感想は如何でしょうか?

予想外の動きですが、このような例を見る限り “CBの値動きが遅い、株が値上がりしてもCBは値上がりしない”などと言えなくなってしまいますよね。CBに対する認識を改めて頂きたいものです。
上昇中の人気株を買う時などには、株の動きにつくと表現します。それはCBも同じで、富山化学はそのまたとない見本となりましたが、CBで株の動きについたわけです。
上がるか・下がるか(儲かるか損するか)はともかく、動いているものに乗るわけですから結果が早いのは言うまでもありません。
株は速いがCBは遅いとよく言われますが、何時動くか分からないCBを買って待つ方法と動き出した株を買うのとでは、土俵が違うのですから比較になりませんでしょう。ところがこの富山化学の場合は、株の動きにつくという条件が同じ訳ですから結果が株のように速いのは当然なのです。
しかし、CBは連動率が絡んできますので、残念ながら値上がりの幅に関しては違いが出てきてしまいます。

“CBの値上がりが株式の半分ではないか、これなら株を買った方が儲かった”結果が出た後ではよく言われることです。損のないCBだから買えたのであって、買えたからこそチャンスをモノにできたのです。ここが大切なのです、忘れないで下さい。
株式なら、高くなった処はそう簡単には買えません。後講釈で儲かるのでしたら誰も苦労しませんし、損をする人も皆無です。

<富山化学 #1>
株価 390円  ⇒ 467円  +19.7%
CB 101円  ⇒ 113円  +11.8%

株価の値上がりに対してCBの値上がり比率、連動率は0.6でした。
(CB値上がり率11.8%÷株価値上がり率19.7%=0.60)
理論上の連動率0.4からするとかなり高い結果ですが、それは現在の113円が割高な値段になっているのが理由です。
このように株の動きに勢いがあるときには、先高の期待からCBが高く買われことがよくありますが、ここもそのケースでしょう。
連動率の0.4につきましては、前号に添付したCBチャートをもう一度みて検証してください。
CBチャートは⇒http://www.takeuchi.gr.jp/chart.7html

株価はまだ上値がありそうですが、CBのこの先は株価次第です。それこそ、ここからがギャンブルといえるかも知れません。ただし、CBは妥当値に近い108〜110円で買えたら、との条件つきですが…。
ここから参戦しても、株式を買うのと比較すれば、まだリスクは少ないといえるところでしょう。

その一方では、101円で買った人は、割高の今の水準を売り場としてCBを売却することも考えられます。短期間に10%のパフォーマンスなら、それも一つでしょう。
現に、株を買っている人がいると云う事は、売っている人もいるわけですからね。

この先どうなるのか。せっかくのチャンスですから、株価とCBがどのように動くのか追跡をして下さい。それこそ、活きた勉強になる筈です。

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2: CBで株式投資?
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~~~~前号から~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
もっと効率の良い銘柄はないのか。それは貴方がどれだかのリスクを負えるかによ
ります。仮に5〜10%までならとなれば、連動率の高いCBも選択できるでしょう。
この辺のところは次回にお話しすることにしましょう。
CBがつまらないと言わずに、少し応用の範囲を広げる工夫もできることを知ってお
いて下さい。
負けた時のリスクを知りながらのギャンブルなら、何も怖くはないでしょう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

効率の良いとは、株価との連動が高いことですよね。
先の富山化学でいえば、CBが19%前後値上がりしていたのなら良かったわけです。お約束通り、連動率の高い銘柄を探してみました。

連動率が高くて、しかも株価に動きのあるCB。
それは、ズバリ! 日立建機#3です。

<6305 日立建機 #3>

以下は、発行条件、株価・CBの値段など詳細ですが、まず先にCBチャートをみてください。
そして富山化学のポジションと比較して見ましょう。
   転換価格:476.0円  利率:0.0%
   株価:497円  パリティ:104.4  最終利回り:−1.41%
   CB:108.0円   パリティ乖離:3.4%  最大リスク:19%
   上方連動率:0.85  下方連動率:0.35  下値:91円
CBチャートは⇒http://www.takeuchi.gr.jp/chart.8html

チャートから、連動率が高いのと、リスクも大きいことが分かります。
富山化学の101円の時と違って、日立建機のCB値段は高く108円です。それは効率を狙う上では仕方がありません。
冒頭の「どれだけリスクを負えるか、5〜10%のリスクなら連動率の高い銘柄も選択できる」 という条件を満たしたものです。
リスクが増えた代わり連動率は2倍になっているのが分かりますか?
効率を求めればリスクはそれだけ増えることになるのですが、その辺はCBチャートから読み取れると思います。

ところでこの銘柄につきましては、101〜102円処で買っている会員さんが何人かいらっしゃいました。6円も高くなってしまった今、ここから買えるかどうか、皆さんがギャンブルに参加するかどうか、判断する前に次のことを考えておきましょう。

<株価が値下がりした時には>
CBも値下がりしますが、その下げ方が下方連動率の0.35です。株価が20%の下げでも、その0.35のあたる7%の値下がりで済むことになります。約1/3の値下がりですね。
最大リスク19%とは?下値との乖離率のことですが、株価が半値になったケースでの最大のリスクと考えておいてください。

<株価が値上がりすると>
当然にCBも上がります。その連動が高いのが、この銘柄を選んだ理由です。連動率が0.85ですので、殆ど株と同率に近い値上がりになるでしょう。
ただしこのCBは130%コールオプションつきですから、CBとしては上値が130円とみておかなくてはなりません。

これで、株価が上下に動いた時のCBの分析はできましたね。
『株のように値上がりしても、株のようには値下がりしない』 ということがわかりまし
たでしょうか。

後は、株価がどちらに振れるかの分析ですが、それが読めれば問題はないのです
が…。
上がるのなら買うけど、本当のところどうなの?
それは、貴方自身で考え、決断しなくてはならないことではないでしょうか。

-----私の言えることは、-----------------------------------------
株はどちらに動くかは分からない。
株が上がればCBも同じように値上がりする。
株が下がってもCBの下げは少ない。
株はどちらに動くかは分からないが、リスクが少ないので上に賭けたい。
株が値下がりしたら、裁定を組む選択もある。
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以上のことから、「値上がりに賭けてみましょう」−が私の答えです。
もし外れたら?ギャンブルですからそれもあるでしょう。でも、その時の損は株よりも少なく、1/3で済みますからね。
さらにもう一つ、奥の手もあります。それは、株が下げ始めた時に裁定を組むことによって、株価の値下がりを儲けに変へられることです。

CBで株式投資、さてどんな結果が出るのでしょうか?

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----------CBメールマガジン----------------------------------------------------------

   転換社債投資入門    2003/01/21  第15号
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■今週の目次
1:人によって見方が違う
2:自分好みCB?
3:迷ったら両方?
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1: 人によって見方が違う
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 CBはつまらないとか値動きが悪いと言う貴方に、前回は富山化学と日立建機を紹介してみました。動いている株につく訳ですから、答えはすぐに出ます。これもCB投資の一つなのですが、お楽しみいただけましたでしょうか?

といっても、日立建機はまだ終わったわけではありません。株が上がるか、下がるか動きに一喜一憂できる(?)のは株式投資と同じですので、これからも楽しめるというところでしょうか。ただ空売り禁止になってしまい、逆裁定ができなくなってしまったのは残念ですが、解禁になったらまた考えれば良いことです。
上場間もないことと、株価動向から出来高が多いのは当然なのですが、1月20日の出来高上位銘柄の中に、日立建機より上にNEC、沖電気が顔を出していました。チョット参考情報を掲載しておきますので、一緒に考えて見ましょう。

 CB終値  パリテイ  乖離率  下値乖離  最終利回り
NEC #10 97.7円 33.8円  188.8% 0.7%  1.29%
沖電気 #17 98.9円 20.4円  383.0%  −1.3%  3.15%

NECのパリティは33.8円、沖電気にいたってはたったの20円です。
もう言うまでもありませんですよね、この銘柄は株価が値上がりしてもCBは動きません。それでも出来高が多いのです。
これまでのお話しからだと、パリティとの乖離が大きいので連動は考えられませんから、おもしろく何ともありません。それでも出来高が多いのはどうしてでしょうか。
答えは、利回りが高いという処にあります。

その利回り、それこそがCBの基本で沖電気は3.15%です。利回りという投資目標をもっている人にとっては、大変な魅力なのです。
損をしたくないとか、安全・有利性をCBに求める人にとっては、日立建機よりは数段は良く見える筈です。

“ではどちらが良いのですか?”
日立建機が10〜20%値上がりしていたら日立建機が良かったと言う事になるわけですが、それは結果もみなくては分かりません。前にも触れたように値上がりする方に賭ける、挑戦するだけなのです。
沖電気は挑戦ではなく、最終利回りは約束されたものです。
儲け少なくても確実な方を選ぶか、それとも儲けに挑戦するか。これは投資家さん自身が選ばなくてはならないものなのです。

日立建機を紹介した理由は、
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連動率が高くて、しかも株価に動きのあるCB。
それは、ズバリ日立建機#3です。
=======================================
でしたね。
でも、このような考え方が転換社債投資の全てはありません。連動と株価の動きという条件であれば日立建機が正解であっても、利回りの高いCBといえば沖電気を選ぶほうが正解なのです。

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2: 自分好みCB?
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 それにしても、沖電気と日立建機は極端に性格が違う銘柄です。
でも、両方ともCBで、どちらも理に適っているのです。
CBには二つの価値があり、そのどちらか高い方の価値がCBの値段を決めるベースになることは以前にお話ししました。
覚えていますよね、それがCBの全てですから…。

もう一度価値との比較をして見ます。
債券価値=下値、株式価値=パリティ、これも皆さんは既にご承知です。

  CB終値   株式価値   債券価値
NEC #10 97.7円  33.8円 97.0円
沖電気 #17 98.9円  20.4円 100.2円
日立建 # 3 110.3円 109.2円 91.0円

NEC、沖電気は、株式価値(パリティ)が低くても債券価値が高いので、CBはその債券価値に近い値段になっています。特に沖電気は債券価値よりもCBの方がまだ安い訳です。債券価値とはその時の金利水準から計算され、その価値よりも安いということは、利回りも高くなって当たり前です。割安な水準ですから買う人が多く出来高が膨らんでも当然ですよね。
日立建機は?株式価値(パリティ)の方が債券価値よりも高いのが分かりますね。
となればCBはパリティに近い値段がつくはずで、実際には価値よりも少し高い値段になっています。

NEC・沖電気と日立建機は全く違う様に見えても、価値という分析からすれば三銘柄ともにそれなりの値段になっているのです。
だとすれれば、どの銘柄を選んだとしても間違いではありません。現に多くの人がそれなりに考えて買っており、だからこそ出来高上位に名を連ねている訳です。商いの多いとはそう言うものではありませんか。

<NEC>  安全だが乖離が大きい
債券価値通りで、利回りは普通。乖離率は大きいが、株価がある程度値上がりすればCBも連動する。

<沖電気>  割安で高利回りだが連動はない
債券価値を割りこんでおり割安、利回りは高い。株価に関係なく2〜3円の値上がりは考えられる。しかし、株価が2〜3倍になっても連動高はありえない。

<日立建機>  高い連動率だが、リスクもある
株価と完全に連動する水準にあり、株の動き次第ではかなりの値上がりの期待が持てる。反面、株が値下がりするとリスクもある程度(10%)ある。

以上のことが理解(分析)できて選ぶのであれば、どれを選んだとしても間違いではありません。ただし、結果が出てからどちら良かったと言うのは止しにしましょう。

ところで、CBがつまらない(?)と考える方は、NECと沖電気を選ぶとしたら、それは目的に反していますので間違いです。日立建機を選ぶべきでなのです。
反対に安全な投資を考えた方が日立建機を選ぶとすれば、それも間違いといわなくてなりません。

自分の投資目的にあった銘柄を選ぶ、それこそが上手な銘柄選びです。

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3: 迷ったら両方?
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“沖電気の利回り3.15%も棄てがたい、というよりも魅力だ!”
連動しないと言いながらも、今の低金利の時代にやはりこの利回りは見逃せませんよね。そう考える人も、かなり多いことでしょう。
やっぱり、株のように儲けたい…それも当然です。そうなるとやはり、日立建機のポジションと株の動きからは目は離せられません。外れても株のような損がないとなれば、尚更です。
でも株が下がってしまえば損は少なくても、損は損。儲けにはならない。沖電気なら絶対に損はないし、3.15%の利回りは約束されている…。

どうしよう、どっちにしたら良いのか?迷ってしまいますよね。

どちらがいいのか、二つのうちから一つをとなれば迷いますが、両方を買ってしまったらどうでしょうか。勿論、二銘柄買える資金があるという条件ですが。
両方ともそれぞれに価値があるわけですから、両方選ぶというのはごく自然だと私は思います。無理に一つに絞る事もないでしょう。

堅い沖電気のような銘柄を買ってあれば、多少リスクがあっても日立建機のような株価連動の投資効率を狙う銘柄は買いやすくなるでしょう。
その反対もあります。投資効率から連動の高い銘柄が多くなると、全体を守るために安全で利回りの高い銘柄はどうしても必要になってきます。

これは、たまたま沖電気と日立建機の考え方です。儲かる銘柄が簡単に分からない以上、それなりの工夫をしなければなりません。
同じ高利回りなら、沖電気より少しは連動もありそうなものへ
日立建機よりもう少しリスクの少ないものはないか
もう一つ、中間的な銘柄で三銘柄にしたらどうだろうか
などなど…

CBは値動きが少ないとか、つまらないというのでは勿体ないと思います。
それぞれの銘柄の性格(分析)が分かり、その特徴を組み合せる。そんなポートフォリオ運用へと、あなたの投資を進めてみませんか。
それが誰にでも簡単にできるのが、CBの最大の利点です。

また来週お会いしましょう。
竹内秀夫
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